#989
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<MVP INTERVIEW> グラシアル「軍隊学校の教えが生きたんだ」

2019/11/04
4戦3発。文句なしの最高殊勲選手った。キューバからやって来た勤勉なスラッガーは、ホークスに日本一をもたらした第4戦の4回、何を思いながら菅野智之と対峙していたのか。(Number989号掲載)

――日本一を決めた試合で巨人のエース菅野投手から放った3ランは衝撃でした。

「バットを持ってベンチを出たときから私には菅野投手の情報がありましたから。外のスライダーだけは絶対に振らない。ランナーを返すためにフルスイングではなくコンパクトに振る。そのふたつだけを決めた上で打席に入りました。だから2ストライクに追い込まれたあと、外角のボール球になるスライダーを2球続けて見逃せたのだと思います。最後は真ん中から内側の打てる球だけを待っていました。ホームランになったのはたまたまで、ランナーを返すというのが最も重要なことでした」

――2017年のWBC2次ラウンドでも菅野投手からホームランを打っています。

「もちろん、WBCで対戦したことは今日の結果につながったと思います。あの時も私は菅野投手の情報を持っていて、それは全部(キューバ代表の4番だった)デスパイネからもらったものでした。ただひとつ言っておきたいのは、菅野投手は簡単に打てる投手ではありません。本当に素晴らしい投手です。ただ向こうがミスして自分の打てるところに来れば、それを逃さずに打つことだけを考えていました」

――「情報」はそれほど重要ですか。

「私の成績の80%から90%はスコアラーの人たちが集めてくれた情報によってもたらされたものです。その情報があるからこそ、どういう球を狙って、どのようにスイングするかアイデアを持って打席に入っていけるんです。それがなければこの結果にはつながっていません。なかでも一番多く情報を与えてくれているのはデスパイネです。彼が相手のバッテリーを観察して、どういうことを考えているのか、この場面はキャッチャーがこうリードしてくるだろうと毎試合、毎試合教えてくれるんです。そして本当にその通りになる。その積み重ねで私は次第に自信を持って打席に立つことができるようになったんです。本当に彼には感謝しています」

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photograph by Hideki Sugiyama

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