今季最も注目を集める若手スラッガーは高卒2年目。まだ粗削りながらもその豪快なバッティングは、“真の4番”へと成長する可能性を秘めている。(Number980号掲載)
その瞬間、東京ドームにどよめきが起こった。5月12日、試合前のスタメン発表。場内に「4番ファースト、村上」のコールが響き渡ったからだ。10代の選手が4番で先発するのは、当時西武に在籍していた'87年の清原和博以来のことだという。平成時代には一度もなかった「10代の4番」が、令和改元早々に実現したのだ。後日、小川淳司監督に起用の意図を尋ねると、指揮官の頬が緩んだ。
「単に故障者が相次いだので他に選手がいなかっただけです。村上には十分にその実力はあると考えた上での起用でした」
確かにこの日の巨人戦は青木宣親、山田哲人、バレンティンと主軸3人がコンディション不良で欠場するという緊急事態。その中での窮余の策だった。しかし、それから約2週間後の5月29日の広島戦では青木も、山田も、そしてバレンティンもベンチ入りしているにもかかわらず、村上が4番を務め、初回にはライトスタンドに突き刺さる豪快な第14号スリーランを放っている。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Tokyo Yakult Swallows