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寺山修司が書いた競馬と人の間には。 ~馬にこそ仮託できる感情がある~

2019/05/26
競馬をこよなく愛した寺山には、「さらば、テンポイント」など競走馬がテーマの詩作も数多い。

 カルチャー教室事務職のH氏は正統な競馬好きである。すなわち「ささやかに買ってはささやかに嘆く」。過日、酒場で黄金色のマカロニサラダをともにつつきながら「当たりました?」と返答をわかっているのに聞いた。

「だって藤田菜七子。叩き上げの女性騎手の。21歳の。買わなくちゃ」。16着。苦杯のはずのレモン酎はそんなに苦くなかった。

 同じ店のカウンターでたまに杯を交わす放送局社員、M女史は、普段は馬の話をしないのに実によく馬券を獲る。数日前も「あるところまでいくと機械では払い戻せないのですね、配当」と表情を変えずにつぶやいた。

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photograph by Motohisa Ando

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