2人の大打者はかつて、確かに深い部分で結びついていた。自己との闘いを続ける清原が苦悩の中で忘れじの記憶を必死にたぐった。
いざ、口を開こうという段になって、清原和博は頭を抱え込んでしまった。
「会った瞬間に理屈抜きで思ったんです。ただ、なんていうのか、2人じゃないとわからない、感覚的なものなんです……」
イチローと初めて深く交錯したのは2006年初頭のことだった。清原は巨人から事実上、戦力外とされ、オリックスへの入団を決めていた。そこへ、すでに世界に認知されていた「ICHIRO」から食事の誘いがあったのだという。
神戸の夜。
良くも悪くも一瞬にしか生きられない無冠の帝王と、病的に映るほど日々の浮き沈みを排し、積み重ねることの価値を「200」という数字で世に知らしめていた新時代のスターとでは、重なるところなどないのではないか。
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photograph by KYODO