2005年夏、準決勝で大阪桐蔭を6-5で下した駒大苫小牧の当時の主将・林裕也はこう話す。
「あの頃の大阪桐蔭は、大事なところでミスが出る印象がありました」
個の力は圧倒的だが、粗い。巨大戦力を持つチームにありがちだが、確かにそんな印象があった。しかし先日、選抜高校野球大会を制し、史上3校目の春連覇を達成した大阪桐蔭の印象はそのまったく逆だった。
なぜ、慢心しないのか。主将の中川卓也は淀みない口調で言った。
「自分たちに力がないことは自分たちがいちばんよくわかっています」
中川だけではない。ほとんどの選手が判で押したように同じ言葉を繰り返す。新チーム結成後、練習試合も含めて、1敗(神宮大会の準決勝で創成館に4-7で敗戦)しかしていないにもかかわらず、だ。
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photograph by KYODO