緑の芝で黄金のトロフィーを掲げるロジャー・フェデラーは千両役者の貫禄だった。単独史上最多8度目のウィンブルドン優勝。四大大会通算でも、自身の最多優勝記録を更新する19度目の栄冠。また、35歳での同大会男子シングルス優勝は、1968年のオープン化(プロ解禁)以降の最年長記録となった。
マリン・チリッチとの決勝では、第1セットを奪い、第2セットも3-0。するとベンチに戻ったチリッチが突然泣き出した。左足のマメが痛み、「この舞台で最善のプレーができないなんて」と感情を高ぶらせたのだ。並みの選手なら動揺が伝染し、集中を乱すところだが、フェデラーは相手に目もくれない。何のためにこの決勝のコートに立っているのか、その重さを知っているからだ。
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photograph by Hiromasa Mano