アーセナルが未だに世界的なブランドを保てるのは「インヴィンシブル」のおかげかもしれない。攻撃主体の魅惑的なパスサッカー。若手を次々登用し、試合はエネルギーに充ちている。そんな代名詞で語られるガナーズも12年間プレミアリーグ優勝を逃し続け、今季も4位争いの真っ只中。就任20周年、契約最終年のヴェンゲル監督は、いよいよ擁護できないところに追い込まれている。
究極のマゾヒズムを強いられたファン「グーナー」は、失敗の連続の中で微かな希望を糧に生きてきた。その根っこが13年前の奇跡ではないか。本書は2003-'04にアーセナルが達成した無敗優勝のシーズンを様々な角度から検証したもの。あらゆる選手、スタッフ、ヴェンゲルのインタビューも交え、近代フットボール史上唯一の偉業を成したチームの精神を捕えようとする意欲的な1冊だ。
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photograph by Wataru Sato