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FIFAが“オウンゴール”連発も…それでもフットボールの祭典が「権力に屈しなかった」理由とは?《10大会連続取材の記者が総括する》

2026/07/28
大会の主催者や開催国の政治家が権力を振りかざしても、ピッチ上の選手とスタンドのファンはフェアに戦った。W杯取材10大会目のジャーナリストが、今大会の意義を綴る。(原題:[開催国ルポ]それでも祭典は屈しなかった)

 2026年W杯では、ワールドクラスのタレントが観る者を魅了した。リオネル・メッシ(アルゼンチン)、キリアン・エムバペ(フランス)、ジュード・ベリンガム(イングランド)、ラミン・ヤマル(スペイン)――。出場各国のスター選手たちが北中米大会に与えた輝きは、国境と時間を超えて、人々の記憶の中で生き続ける。

 だが今大会のレガシーは、サッカーという世界共通言語の使い手として、その足で雄弁に語った者たちによる功績には留まらない。言わば「市井のW杯」では、アメリカ、メキシコ、カナダの共同開催国において、スタジアムのスタンドから、そして開催地の街中から、重要なメッセージが発信された。難しい世界情勢の中でも、仲良くやっていくことはできるのだと。

 筆者にとっては、記者として通算10大会目のW杯。文化的な魅力と試合のドラマ性で印象深い、'02年日韓大会と'14年ブラジル大会とともに、個人的なベスト3に数え上げられる大会となった。

メキシコファンお気に入りのBGMとは?

 アトランタでの準決勝で実現した、イングランドとアルゼンチンの顔合わせに、一触即発の空気が漂っても、それは致し方ない。両国間には、1982年に勃発したフォークランド紛争という歴史的な対立、'86年メキシコ大会でのディエゴ・マラドーナによる「神の手」ゴールなどによる、因縁の対決という背景がある。しかし、他のイングランド戦の会場で体感した今大会は、総じて「喜び」と「親しみ」に満ちていた。

Getty Images
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 行く先々で、その土地の人々のサッカー愛が示されていたように感じられた。イングランドがメキシコとの接戦を制した(3-2)16強対決後には、舞台となったメキシコシティ・スタジアム(旧称エスタディオ・アステカ)の通り向かいのバーで、地元のファンが、イングランドのサポーターたちと、ビールやテキーラを飲みながら盛り上がっている光景が目に入った。彼らは、自国代表を敗退に追いやった敵ではなく、名勝負を演じた相手の「12人目」と健闘を称え合っていた。

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photograph by Mutsu Kawamori

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