今から15年半前、当時ワシントン・ウィザーズの新人GMだったマイケル・ジョーダンに、トレードをまとめるのに一番大事なことは何かと尋ねたことがある。ジョーダンは躊躇することなく、お互いの利益になる取引を提案することだと持論を語った。
「相手にとって悪い条件を出すのは、相手を侮辱することだ。騙したり利用しようとするやり方は、ビジネスとして結局うまくいかない」
コート上では容赦なく相手を叩きのめすことで知られていただけに、意外な言葉だった。正直なところ、新人GMの甘い考えなのではとも思った。
このことを思い出したのは、昨年末に合意が発表されたNBAの新労使協定交渉において、選手とオーナーの両方の立場を経験したジョーダンの存在が大きかったという話を聞いたからだった。NBAコミッショナーのアダム・シルバーも、交渉が順調に進んだ理由として、ジョーダンの貢献をあげて称賛していた。
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