独特のリズムを刻むステップに、凄味を備えた決定力。 慶大時代から未来を嘱望されてきた生粋のウイングが 大舞台に足をかけた。日本の翼は、英国の空を飛ぶか。
「えっ、11ですか? 僕は12だと思ってました。ひとつ盛っちゃいましたね」
7月上旬、パシフィック・ネーションズカップ前のインタビューで、山田章仁は自身のキャップ数を勘違いしていた。
今年30歳になったジャパンのトライゲッターだが、キャップ数が示すとおり日本代表での活躍は意外にも少ない。
慶應大学在学中から飛んだり跳ねたりトリッキーなプレースタイルのウイングとして注目され、U23日本代表にも選出されたが、その後の歩みは意外にも遅かった。初キャップは2013年で、ワールドカップ出場の経験もまだない。
人とは違う選択をしてきた。大学2年でオーストラリアに留学。卒業後は一般的な選択肢のトップリーグでなく、いきなり海外でのプレーを目指した。それが叶わずトップウェストのホンダとプロ契約し、'10年にはトップリーグの三洋電機(現パナソニック)に移籍。'12年にはアメリカンフットボールにも挑戦した。さらには今年、パナソニックと並行してスーパーラグビー、ウエスタン・フォースの一員となった。
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photograph by Tadayuki Minamoto