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「自分は何人でもない、サラエボっ子だ」 ~『オシム 終わりなき闘い』を読む~

2015/03/04

 オシムって、何だかやはり偉い人らしい。そんな認識でしかなかった僕ら日本人の横っ面をパーンと叩くような壮絶で骨太なノンフィクションが本書だ。確かにイビツァ・オシムは、祖国ボスニア・ヘルツェゴビナW杯出場のため、不自由な体に鞭打って分裂したサッカー協会の取りまとめに奔走した。

 ムスリム、クロアチア、セルビアの3民族が交代で国家元首を務める体制をそのまま併用していたボスニアのサッカー協会。一見、公平に思えたそのシステムは、自民族の利益と保身ばかりを優先した運営にしかならなかった。その結果、FIFA加盟資格の取り消し処分を受け、国際大会への出場が禁止。念願だったW杯初出場も遠のいたように思えた。

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photograph by Wataru Sato

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