昨季まで米国でプレーしていた松坂大輔をはじめ中島裕之らが、今オフ、相次いで日本復帰を決めた。彼らが米球界に渡ったことの成否は、データ上の数字だけでなく、今後、総合的に周囲が判断するものだろう。ただ、メジャーへの移籍後、再び日本へと戻る動向に、今や違和感を覚えることは、少なくなってきた。プロの選手として、プレーする機会を求める動機に、場所を問う必要はない。日米間の交流、移籍に関する意識は、間違いなく「新時代」になってきた。
1995年、野茂英雄がメジャーへ挑んだ際、「開拓者」の精神を評価する一方で、野次馬的に、目先の結果を求める傾向は強かった。実際、日本球界内では、優秀な人材の海外流出をレベルの低下に直結させる意見が多く、危機感として捉えられていた。その反面、佐々木主浩、イチローらが太平洋を渡り、オールスター級の活躍をしたことで、日本人メジャーに求めるハードルは確実に上がっていった。だが、幾多の選手がメジャーへ移籍する昨今、今や個々の能力や結果だけを、日本人選手の全体像に一致させる時代ではない。
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