サインに首を振って投げ込んだ、胸元へのストレート。今シーズン5度目となる完封劇のシナリオを書き上げるために、イーグルスの則本昂大はジャイアンツの坂本勇人の懐を抉った。
6月15日、日曜日の仙台。
先発の則本は8回までジャイアンツ打線を1安打、無失点に抑えていた。そして迎えた最終回、ノーアウト二、三塁のピンチを背負った則本は、坂本を追い込んだ後、勝負球にインコースへのストレートを選んだ。胸元へ食い込む則本の生命線――しかしその148kmは、内角打ちの天才、坂本にうまく腕を畳まれ、カットされてしまった。
決め球をファウルされて、外で勝負せざるを得なくなった則本は、一転、アウトコースへ149kmのストレートを投げ込む。しかし坂本はこのボールをセンター前へ弾き返し、これが逆転の2点タイムリーとなった。強い球でとことん押そうという則本の持ち味が裏目に出た。
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photograph by Nanae Suzuki