トップリーグ得点王ニコラス・ライアンの蹴ったボールが力なくインゴールに落ちたとき、神戸製鋼ファンは奇跡を期待しただろう。
2月2日のトップリーグ・プレーオフ準決勝はすでにホーンが鳴っていた。3連覇を目指すサントリーのリードは3点。スクラムでPKを奪い取り、時間をかけて蹴ったニコラスのPGがまさかの失敗。神戸製鋼は、自陣インゴールから相手ゴールラインまでボールを運べば逆転だ。可能性が低いのは先刻承知、ありえないPG失敗でもらったチャンスだ、ありえないアタックだって成功するはずだ――。
だが奇跡は起きなかった。逆に猛然とプレッシャーに来たサントリーのFLジョージ・スミスの圧力に耐えきれず、インゴールでこぼれた球にサントリーの新人PR石原慎太郎が飛び込んだ。19-27の敗戦。トップリーグが発足した'03年度に初代王座を獲得して以来、見放されている王座の奪回は今回も叶わなかった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Nobuhiko Otomo