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<元代表のGK&DFが語り合う> 楢崎正剛×田中マルクス闘莉王 「世界で勝ち抜くために“理想”を捨てよ」

2013/07/31
「W杯優勝」を謳い、されどコンフェデでは失点を重ねたザックジャパン。
かつてW杯の舞台に立ち、世界を知悉する守護神と闘将が、
現代表の守備に警鐘を鳴らす――。

 W杯を4度経験した日本を代表する守護神と、前回の南アフリカW杯で抜群のリーダーシップと存在感溢れる守備を見せた闘将。そんな二人の本音を聞くべく、席に着いた。

 初めに姿を現したのは、楢崎正剛。遅れてくる後輩を気にすることなく、「先、始めておこうか」と一言。現在の日本代表へ向けられた思いを熱く語り始めた。

強豪相手に最善の注意をしたかどうかというところは問われる。

――コンフェデ杯では日本は3連敗で9失点と、厳しい結果を突き付けられました。

楢崎 今の代表の選手たちは結果にこだわって戦っただろうけど、本当に勝ちに行く、結果にこだわるのであれば、もう少し堅い戦い方をする必要があった。守りの意識をもっと高めないと、結局勝てないということに今回もなった。でも選手たちはそういう考えではないでしょう。強豪国と同じように主導権を握って、結果を残したいと思っているはず。

 ただ、今まで戦ってきたレベルの相手では出なかったミスが、出てしまった。強豪相手に最善の注意をしたかどうかというところは問われる。誰が見ても防げた失点があるということは、隙がどこかにあったと言われても仕方がない。もちろん本人たちは防げたはずだと感じていると思う。それに守備陣は長く一緒にプレーしているわけだから、連係面で大きな問題がないのが普通です。

「待たせてすみません」。そこに、遅れて闘莉王が入ってきた。間髪入れずに、彼の熱弁の幕も切って落とされた。

今の日本はまだ“相手の弱点を露呈させる”試合をしないと。

【写真右】 田中マルクス闘莉王
Tanaka Marcus Tulio

1981年4月24日、ブラジル生まれ。サンフレッチェ広島に'01年入団、水戸ホーリーホックへ'03年からレンタル移籍、'04年に浦和レッズに完全移籍。'10年に名古屋グランパスへ移る。A代表は'06年に初選出。'10年の南アW杯では全4試合にフルタイム出場、不動のCBとして活躍した。185cm、82kg。
【写真左】 楢崎正剛 Seigo Narazaki
1976年4月15日、奈良県生まれ。奈良育英高を経て、'95年に横浜フリューゲルスに入団。'99年に名古屋グランパス移籍以降、同クラブ所属。A代表には'96年初招集、'98年に初出場を果たす。'98年から4大会連続でW杯を経験、特に'02年の日韓W杯では正GKとして活躍。187cm、80kg。

闘莉王 GKやDF陣の連係云々と言うけど、もう何年も一緒にやっている。脆さがあってはおかしいでしょ。

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photograph by Miki Fukano

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