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清武が前を向くことでチームに攻撃のスイッチが入り、
永井は相手DFに影さえも踏ませることはなかった。
世界が震えた高速カウンターは、いかにして生まれたのか。
最初に度胆を抜いたのはモロッコ戦だった。
後半39分、清武弘嗣の浮いたパスを永井謙佑が猛烈なスピードで追う。そのままDFに競り勝ち、前に出てきたGKの鼻先で蹴り上げた。ニューカッスルの観客は、永井のきれいな弧を描いたループシュートとともに、その圧倒的なスピードに驚き、スタジアムは大きく響動(どよ)めいた。
これが日本最強の武器となった「ナガイ・アタック」である。そのホットラインとなったのが、清武と永井のふたりだ。グループリーグはもちろん、決勝トーナメントに入ってからも相手の脅威となり続けたこの連携は、実はロンドン五輪本大会になってから生まれたものだった。
アジア最終予選では、大迫勇也や大津祐樹が1トップに入り、ポストプレーを活かしてサイドに展開するという戦術が主だった。だが、大会直前のメキシコとの親善試合で永井が1トップに入ることで、ホットラインの素地が出来た。
「スペインは、謙ちゃんのスピードに完全にビビってた」(清武)
清武は、言う。
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1989年11月12日、大分県生まれ。'08年、大分でプロデビュー。既にA代表でも出場し、U-23ではチームの中心として活躍。今年7月、ニュルンベルクへ移籍。172cm、66kg。
「あの試合、自分が前で奪ってサイドの謙ちゃん(永井)に展開し、最後は慶悟(東)が決めたんですけど、まさに狙い通り。スペイン戦でも前からプレスを掛けて、チャンスを作ってくれた。相手は、謙ちゃんのスピードに完全にビビってた。このスピードは使えるし、使わないと損する。それから『持ったらまず謙ちゃん』という感じになったんです」
永井を活かす戦いが出来たのは、五輪に出場してくる国がアジアのように引いて守るのではなく、ラインを上げてしっかり繋いでくるチームが多かったからだ。加えて、試合当日まで誰も永井のことを知らなかったからでもある。スペインも事前にスカウティングをしていれば、あそこまで無残に永井に切り裂かれることはなかったかもしれない。
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