いよいよ甲子園本大会が始まる。全国から多くの才能が結集するが、そこで見られない大物投手がいる。
岩手大会の決勝戦。マウンドに集まる盛岡大付の選手たちの歓喜の輪をちらりとみて、花巻東のエース・大谷翔平は大きな背中を揺らして三塁側ベンチに戻っていった。その姿を見て、筆者は「彼の才能を育てるには3年間ではまだ足りないのか。それほど大きな才能なのか」という感慨にとらわれた。まさかの5失点を喫し、甲子園直前での敗退だが、それが大谷の評価を減じることにはならないだろう。
起伏の多い3年間を過ごしてきた。
入学時、佐々木洋監督は、センバツ準優勝の偉大な先輩・菊池雄星を乗り越えることを大谷に課した。そのために大谷は、日本最速となる《163km》という目標を記した紙をトレーニングルームに貼る。前人未到の高校生160kmを目指す旅が始まった。
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photograph by NIKKAN SPORTS