「僕じゃないでしょ」
マン・オブ・ザ・マッチの表彰を受けた湯原祐希が苦笑混じりに呟いた。
「協会の人も、空気を読んでほしいです」
視線の先には、報道陣に囲まれるFB松田努の姿があった。1月29日、秩父宮ラグビー場で行なわれた東芝×リコーで、松田は開始6分に相手WTBマーク・リーをゴール前で止める猛タックルで先制トライを阻止。続く12分には、CTB仙波智裕の突破に鋭く反応。相手ディフェンスのいない大外のスペースに長駆走り込んだ背番号15がパスを受けた瞬間、秩父宮のスタンドはどよめいた。長い髪をなびかせてインゴールに走り込んだ松田がボールを置いたとき、自身が持っていたトップリーグの最年長トライ記録は、「41歳8カ月29日」に塗り替えられた。「あそこは仙波が抜けたから、サポートにつくのは当たり前のプレー。でも、みんなが喜んでくれるのを見て嬉しかった」
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photograph by Yuka Shiga