クルム伊達公子が好例だが、自分のやるべきことが分かっていて、それをそのままコートで実践できる選手は強い。今シーズン急成長した19歳、土居美咲にも伊達と同じ“匂い”がある。
「サーブとフォアハンドで攻める」と目指すテニスは明快だ。しかも、今季は大会ごとの位置づけが明確だった。テニス選手は「チャレンジする大会、勝ちにいく大会」という言い方をする。どこまでできるか分からないが、あわよくば一人でも二人でも上位選手を倒してやろう、というのが前者で、ある程度結果を期待して出場するのが後者だ。
この春、「海外でやっていたほうが強くなる」と欧州遠征に旅立った土居は、全仏オープンで予選を突破し、四大大会に初出場した。これは「チャレンジ」の大きな成果だった。一方、11月の全日本選手権は、勝ちにいく大会だった。世界へのステップとして、ぜひともほしかったタイトルだ。土居は表彰式で「この大会は最初から優勝を狙って勝ちにきていたので、優勝できてうれしく思います」とスピーチした。優勝を公言すれば重圧がかかる。しかし、彼女にはそれを引き受ける覚悟があった。
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photograph by Hiromasa Mano