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「勇気」ではなく「義援金」を!
球界が果たすべき、本当の復興支援。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKazuaki Nishiyama

posted2011/03/19 08:05

「勇気」ではなく「義援金」を!球界が果たすべき、本当の復興支援。<Number Web> photograph by Kazuaki Nishiyama

練習時にイチローと談笑する仰木彬監督。阪神淡路大震災にあった1995年にオリックスを初のリーグ優勝に導いたが、日本シリーズでは野村克也監督のヤクルトと戦い敗れている

「野球で勇気づけられるというのは思い上がりだと思う」

「復興が見えた時に野球で勇気づけることはいいと思うが、いま、野球で勇気づけられるというのは、思い上がりだと思う」

 ヤクルトの宮本慎也内野手はこんなことを言っている。

 いまは野球を見せることで、被災地の人々を勇気づけるなどというレベルの問題ではない。宮本の言うことは、まさにその通りのことだった。

 それでは球界を含めて、我々、被災を免れた人間は何ができるのだろうか?

 それはまず、普通に自分の仕事を粛々とやること、働くことしかない。

 プロ野球選手はやはり野球をする以外にはないのだ。

 そうすることで経済を動かし、支援する物資と資金を作り出していく。祈りや勇気という言葉ではなく、今はお金と物をどれだけ被災地に送れるか。それが被災を免れた私たちが、まずできることであると思う。

「経済活動を停止したら日本社会は沈没するだけ。何でもかんでも自粛すればいいというものじゃない」

 これは3・25開幕を主張した巨人・清武英利球団代表の発言だ。

プロ野球界ができることは「野球」での支援しかない。

 野球をやれば、そこに人が集まり、そこで募金ができ収益をチャリティーに充てられる。現実問題として地震直後の3月15日に行われた巨人と阪神のオープン戦ではその収益金と100万円余りの義援金などを含めて3000万円が被災地に送られることになった。それはいま野球界ができる、数少ない被災地への支援活動ということなのだ。

 これから先の復興という観点で考えれば、この清武代表の発言にも一理ある。ただ、そうした活動と現実的な危機の兼ね合いをどう考えるか。そこが今回の一番の問題だった。

 電力不足の首都圏でナイターによる開催には、圧倒的な人が違和感を持つはずだ。

 地震による影響と福島の原子力発電所の事故等で計画停電が実施され、交通機関の運行にも支障をきたしている。関東各地では停電で暗い夜を過ごしている人々も大勢いる。混乱こそあれ、経済を動かすという意味でも、この強行開催にどれほどの効果があるのかも疑問が残るだけだった。

 それでもセ・リーグは野球をやるという。

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