野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
日暮里で日ハムと横浜の紛争が勃発!?
森本稀哲の“聖地”「焼肉絵理花」。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKYODO
posted2011/02/20 08:00
横浜中華街の媽祖廟(まそびょう)において、入団発表会見を開いた森本稀哲選手。マンガ『キン肉マン』の登場人物「ラーメンマン」のコスプレで獅子舞の中から突如登場し、中華街の群衆の度肝を抜いた
梅酒の瓶の背番号は「1」から「5」になっていたが……。
2階への階段を上ると、そこには応援団から贈られた東京時代の歴史ある日本ハム応援旗が変わらずに鎮座していた。最悪の事態を想定して真っ青になっていたH岡君の顔色がオレンジ色に上気する。店内にはタペストリーや、ファンからの寄せ書き付きという気合いの入ったユニフォームなど、ベイスターズ関連のグッズも増えてはいたが、やはり日本ハム関連の方がまだまだ多いようだ。
「そりゃあ、入団以来12年もお世話になった球団ですからね。これからもなくなることはありませんし、ファイターズファンの方も変わらずに来てくれていますよ」
お父さんの言葉どおり、聖地には今も変わらずファイターズファンをはじめ、各球団のファンが集まってきているそうで、新しく店に来る横浜ファンともうまくやっている様子。「来てもいいんだぁ」と感激したH岡君は、'06年の優勝時にここでお祝いをしたことなどを熱く語りながら、絵理花のオリジナル梅酒を2本空けて「ウマイ」とご満悦。そのラベルにある背番号は、昨年までの「1」から「5」になっていた。
チームが変わろうと、野球界のオアシスはそう簡単には崩れない。野球愛という大きなくくりで見れば、所属チームなんて、きっと、梅酒のラベルぐらい些末なものなのだろう。
日ハムファンと横浜ファンが交流する“野球ファンのオアシス”に。
再びえのきど氏は言う。
「移籍に関しては複雑な気持ちですけど、ひちょりには横浜で活躍して欲しいと願っていますし、お店も、どんどんベイスターズ色になればいいなと思っています。あそこは高校時代のコーナーもあるし、ひちょりの野球博物館みたいなものですからね。これから彼がタイトルを獲るなり新聞の一面を飾る活躍をすれば、自然と横浜のグッズが増えて行くでしょうし、それは喜ばしいこと。横浜には元ファイターズの選手も多いですし、ファンもシンパシーを感じているはず。新しい交流も生まれ、また盛り上がるでしょう。この“野球ファンのオアシス”をみんなで大事にしていけたらと思います」
ひちょりのご両親はもちろん、えのきど氏をはじめとした多くのファイターズファン、野球ファンたちが作りあげてきた焼肉絵理花という幸せな野球空間。これが壊れることは滅多なことではないだろう。