- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
監督「プロになりたくないの?」に「僕がですか?」大阪“無名の公立校”からドラフト《22年ぶり投手指名》のナゼ…異色の右腕の正体とは?
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2026/11/03 11:00
日本ハムから5位指名を受けた香里丘の岡本翔斗。大阪の公立校からは実に22年ぶりとなる投手指名だった
「無名の公立高校、しかも大阪の公立高校から指名されれば11年ぶりって、何かとウチは“装飾品”が多かったので……」と指揮官は苦笑いするが、岡本の評判が広まりだしたのは昨夏の府大会。
4回戦でのちに大阪を制することになった履正社を相手に、先発した岡本が6失点で敗れはしたものの、6回まで2失点と粘投。当時は最速141キロながらキレのあるスライダーとのコンビネーションで三振も奪える好右腕としてスカウトの間で名前が挙がるようになっていた。
「普通の公立校」の投手になぜスカウトが注目?
何より岡本の特筆すべき事項は落ち着いたマウンドさばきだ。
ADVERTISEMENT
どんな状況にも左右されず、とにかくブレないメンタリティーの持ち主で、自分で決めたことは必ずやり遂げる性格だ。
高校入学時の球速は125キロ。中学時代は軟式野球部に所属し、入学当初から技術的に目立った存在ではなかった。ただ、「1年生にしてみれば……」と思わされる所作は目についた。きれいな投球フォーム、球持ちの良さ、そして練習に真摯に取り組む姿……。当時、野球ノートに記したある言葉を河本監督はこう振り返る。
「入学して5月くらいですかね。ノートに岡本が“目指せ140キロ”って書いていたんです。
でも、140キロのところに僕はバッテンを記して、145キロと修正したんですよ。今は高校生で140キロを投げても誰も驚かない。でも145キロは理にかなっていないと投げられないので、本当に注目されるようになるなら145キロは超えるようにならないと周りの人は動いてくれないよ、と書いたんです」
指揮官は普段の取り組みを評価し、岡本が1年生の夏から背番号1を与えた。それは当時の3年生も納得した上での判断だった。
2年生になって進路相談をした際に、指揮官は思い切ってこう問いかけたという。
「プロ野球選手になりたくないの?」
すると、やや引き気味に岡本はこう返した。
「先生、僕がですか?」
<次回へつづく>

