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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「見てくださいよ、藤浪の走り…」藤浪晋太郎がDeNA戦力外に…ベテラン記者が振り返る「天才の衝撃」それでも元スカウトが“懸念”を抱いたワケは?
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2026/10/02 17:00
DeNAを戦力外になった藤浪晋太郎。甲子園での春夏連覇をはじめ、常に世代のトップを走り続けた選手でもある
その秋のドラフト会議で4球団が1位重複指名する中で、阪神タイガースが抽選を引き当てて入団すると、ルーキーイヤーから3年連続二けた勝利をマークし、チームのエースにのし上がることになる。
大阪桐蔭高のグラウンドにおじゃましたのは、藤浪晋太郎投手3年生の5月頃だったと思う。
そこで、とても印象的なシーンに遭遇した。
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グラウンドの外野ネットの向こうに緩い坂道があって、歩いて上るのならそんなにしんどくはないが、これがおそらく100mぐらいはありそうで、何度も駆け上るにはなかなかなスロープなのだ。その微妙な傾斜を、大阪桐蔭高野球部員たちが、繰り返し、繰り返し、上っては下り、上っては下りしている。
その坂のふもとで、選手たちの坂道トレーニングを見ていたら、
「ほら、見てくださいよ、藤浪の走り。真っすぐに、一直線上を上っていくでしょ。あれだけの身長があって、あんなに手足が長くても、走る動きに乱れがない。あの姿を見ているだけでも、天才だってわかるじゃないですか」
確か西谷浩一監督だったと思う。心底、感心するようにつぶやいておられたものだ。
もっと驚いたことがあった。「下り」の走りだ。
やったことがある人は実感できると思うが、坂は上りもしんどいが、全身の動きを整えるのは、下りのほうがずっと難しい。その時も、たいていの選手たちが、まるで「あやつり人形」のようなバランバランの乱れた動きで下りて来る中で、195cmの藤浪投手だけが両手を両脇に沿わせて、膝をしっかり前に出して、「ガニ股」にならずに坂道を駆け下りて来る姿に、もう一度驚いた。
驚異の身体能力…それでも関係者が抱いた“懸念”とは?
あのボディーバランスと全身の連動があるから、「150キロ」なんだ。
だから、2m近い「超長身」でも、180cmの投手ぐらいの整った投球フォームで投げられて、あのスピードとコントロールなんだ。一人で、妙に納得したものだった。
ところが当時、その藤浪投手のフォームに「懸念」を持っている方がいたのだ。
<次回へつづく>

