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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「横浜ファンの方も許してくれるかなと」元DeNA・乙坂智、巨人入団の“真相”…退団後は再び米独立リーグへ「最後はベイスターズで終えたいな」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2026/09/30 06:30
横浜DeNA退団後、米独立リーグ球団や巨人を渡り歩いている乙坂智
偉大なレジェンドの影響
「ひとつは“出会い”ですね。チームメイトだったりコーチだったり、野球をつづけていればいろいろな出会いがあるし、その過程で自分の感覚や言葉が研ぎ澄まされて、結果、行動が自分の軌跡になっていく。それを見てなにか感じてくれる人もいるので、それをまだ見つづけさせたいって思いがあるんです」
異国の地を歩きつづけ、多くの人とコミュニケーションをとってきたベースボール・ジャーニーマンらしい心情だ。
「2つ目はイチローさんの存在ですね。マリナーズにいたとき、イチローさんと一緒に練習させてもらう機会があったんです。もう雰囲気がすごいんですよ。引退して6年も経っているのに、現役選手さながらの張り詰めた練習をしている。
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技術や体力だけではない至高の勝負の世界を覗けた気がしましたし、ハイレベルで戦うにはここまで究めなくちゃいけないんだって思ったんです。小学生のときから大好きな選手でしたし、イチローさんほどの選手には到底なれないけれど、何歳になっても自分を磨きつづける姿勢は見習っていきたいなって」
偉大なレジェンドの背中が、乙坂に勇気と活力を与えた。
「そして3つ目なんですけど、僕の飼い犬に影響を受けたんですよ。“モモ”って言うんですけど、白内障で目が見えないんです。けれども散歩に行くと走るんですよ。それを見て感動したんです。
モモは目が見えなくても走っているのに、俺は体が動くのに辞めちゃうのもったいないなって。見えないと怖いのに走りつづける。僕が挑んでいる道も先が見えないけど、モモみたいにがむしゃらに走るのが格好いいんじゃないかって」
学びはどこにでもあるものだ。乙坂は愛犬から生きる姿勢を教えてもらったとうれしそうに語った。
今年の1月で32歳になった。正直、あまり時間は残されてはいない。けれども、どんな状況や環境であれ、どんな立場であろうと、成長し挑戦しつづけ常識の壁を越えて、発信していきたい。それが自分の使命なのだと乙坂は考えている。
「だから今シーズンもなにが起こるか、ドキドキワクワクしていますよ」
乙坂の旅は、まだ終わらない――。
長時間の取材を終えようとしていたタイミングで、乙坂が思い出したように口を開いた。
「じつは日本に帰ってきて、夢がひとつできたんですよ」
一体、何だろうか?
「最後はベイスターズで終えたいなって思ったんです。あのハマスタのファンの応援は衝撃的だったし、本当に感動したんです。だから野球人生の最後をベイスターズで過ごせたら、豊かな人生になるんじゃないかって思うんです」
そう語る乙坂からは、どこか温かさと寂しさが混ざり合い漂っていた。
横浜市出身。中本牧リトルシニア、横浜高校、DeNAでプレーしてきた乙坂にとって、世界に誇るこの港町は、愛してやまないホームタウンだ。4年前『横浜から世界へ』を合言葉に、乙坂は旅立った。出港した船は、寄港しながらも最後は必ずその港に帰ってくるものだ。果たして乙坂は、どこを終着港とするのか、これからもその姿を見つづけていきたい。
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