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甲子園の風BACK NUMBER
「プロにするか、美容師の道に進むか…」“甲子園優勝”智弁和歌山を「最も苦しめた男」の進路はどうなった? 公立校151キロ右腕の“決意”のワケ
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/09/02 11:04
全国制覇を果たし、胴上げされる智弁和歌山の中谷仁監督。そんな強打の王者を苦しめた公立校の右腕が悩んだ「まさかの進路」とは?
練習試合ではなかなか球速が上がらなかった速球も、序盤には150キロをマーク。速球とカットボールとのコンビネーションで智弁和歌山打線を抑え込み、気づけば7回になっていた。
裏目に出た「賭け」…無安打での失点
だが8回、丹羽が挑んだ“ギャンブル”が裏目に出る。
「7回までに使っていなかったカーブを投げたんです。それが(長友への)死球になってしまって」
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この日の丹羽は、変化球にカットボールが多かった。そのため、打者の目を惑わす意味でカーブを投げた。だが、それが指に引っかかってしまい、先頭打者の長友への死球となった。その後は暴投で一気に三塁を陥れられ、犠飛で1点を失った。
9回は3連打でさらに1点を失った。0-2。終盤まで粘り切ったものの、最後は力尽きた。ただ、これまでの敗戦を思うと丹羽の心中は清々しかった。
「全部出し切れた、というのはあります。(9回の追加点の口火を切ることになった)二塁打を打たれたのが(小学校・中学校と同じチームだった)井戸本(陽向)だったので、あの場面はこうしておけば……というのはありますけど。今まで悔しいまま終わったことを思うと、最後の最後に力は出せたのかなと思いました」
甲子園優勝後の取材で、中谷仁監督は何度も「和歌山の良い投手とばかり対戦して、和歌山のピッチャーに育ててもらった」とコメントしていた。智弁和歌山ナインからは、甲子園の準決勝後に「これまで対戦した投手の中で横浜・織田翔希が断トツ凄かった」という声が聞かれる中で「丹羽のストレートのキレとカットボールが良かった」と口にする者もいた。
「智弁和歌山打線は初球からガンガン振ってくるので、そこをうまく利用しようと思いました。どんなバッターでも厳しいコースをしっかり攻めればそう簡単に打たれないと思ったので。ただ、智弁和歌山の打者はとにかく三振が少ないんです。三振を取りたい場面ほど三振をしない。そこに自分は何度も苦しめられました」
その快投でNPBスカウトからの評価が一気に変わるのか――。多くの可能性も残したまま丹羽の将来への話に繋がっていくはずだが、丹羽に関してもうひとつ気になっていたのが「美容師志望」という報道だった。

