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甲子園の風BACK NUMBER
甲子園名門“番狂わせ敗退”から1年…浦和学院・森大監督35歳が明かす「父と違って僕にカリスマ性はない」自律か、管理か? 揺れる指導現場
text by

樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byAsahi Shimbun
posted2026/09/01 11:01
1年前の夏、最強世代の浦和学院は公立校に敗れ甲子園出場を逃した
カリスマ父を継いで…後継者の苦悩
森士氏は強いカリスマ性でチームの方向を示し、反復練習によって浦学の野球を選手に徹底させてきた。その点、大は自分に父と同じカリスマ性はないと考えていた。そこで、選手やスタッフの意見を聞き、自分たちで考えさせるチームづくりを進めた。「監督が言ったからやる」のではなく、「なぜやるのか」を理解して行動できる選手を育てる。父のトップダウン型とは異なるボトムアップ型の組織を目指した。
ところが、監督就任から数年が経つと、その方法にも課題が見え始めた。「好きなことを言っていい」と伝えれば、建設的な意見だけでなく不満も同じように出てくる。「自分で考えてやれ」と伝えれば、「何をしてもいい」と受け取る選手もいる。自主性を尊重し、対話し、自分で考えさせることは現代のスポーツ指導で重視されているが、自由を与えることと自主性が育つことは同じではなかった。
森は2025年夏の敗戦を通して、自由と放任の違いを突きつけられた。
「甲子園に招かれるべきではない組織だった」
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昨夏の滑川総合戦は風速7~8メートルの強風が吹く難しいコンディションだった。浦和学院は5回裏に満塁のピンチを迎えた。森は「嫌な予感」がして、この回2度目の守備タイムを取り、守備位置について指示を出した。しかし大観衆と強風の中、ベンチの意図はグラウンド全体に十分共有されなかった。センターへの判断が難しい打球に外野手が飛び込んだが、ボールは後方へ抜けて走者一掃の三塁打となり、一挙4点を失った。浦和学院はその4点を最後まで取り返せなかった。
森は後に「去年は力があったけれど、自分たちで負けた」と振り返った。一つの守備ミスだけを敗因にしているわけではない。大事な場面で指示を徹底できず、チームとして対応できなかった背景に、それまでの組織づくりの問題があったのではないか。森は敗戦後、自身の指導方法まで検証することになった。
コーチの今栄尚人は、当時を振り返り、さらに厳しく言い放つ。
「率直に言えば、甲子園に招かれるべきではない組織だったんだと、僕は思います」


