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「130kmで詰まらせるのが気持ちいい」カープ鈴木健矢が理想を捨て、アンダースロー転向で得た果実《転機は新庄監督の言葉》
posted2026/08/31 06:00
広島に移籍後2年目にして、その存在感が高まっている鈴木
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前原淳Jun Maehara
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JIJI PRESS
球速は140kmにも満たない。それでも、特大のホームランを打つ強打者を詰まらせ、巧打者には空を切らせる。柔道の言葉を引用すれば、まさに“柔よく剛を制す”。2024年の現役ドラフトで初の2巡目指名で広島に移籍した、鈴木健矢の投球の真骨頂は駆け引きの妙にある。日本ハム時代に新庄剛志監督の提案をうけてアンダースローとなり5年、広島に来て2年。重ねた年齢とともに、投球もまた深みが増している。
「今年は抑え方のイメージができているかなと思います。これまではゴロアウトを狙ってもフライを打たれたり、狙っていないのにゴロアウトを取れたりして、自分の中でもすっきりしないところがあった。今年は『このカウントでこの球を投げればあそこに行くな』とイメージして、実際にそうなることが増えました」
捕手からの返球を受け取ってからセットポジションに入るまでが早い。打者との駆け引きはそこから始まっている。セットポジションを保つ時間、モーションの速度も含め、投球の一部となる。
打者ごとに異なる勝負のアプローチ
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投手が主導権を握る野球において、近年は「ピッチ・デザイン」という言葉も浸透しつつある。投手がデータや映像を駆使して、自分の球質や軌道、リリースの位置などを分析。どうやって打者を抑えるのかを念頭に投球を「デザイン」する、投手視点からのアプローチだ。
鈴木は主眼を自分ではなく、打者に置いている。打者のタイプや傾向から俯瞰する。打席での構え、反応、見逃し方を観察し、間合いとモーションの速度を変えながら各球種の球速も変える。「投球をデザインする」のではなく、「打者との勝負そのものをデザインする」。その違いは、アンダースローという希有な存在価値をさらに高めている。
「僕の場合、データは参考にならないところがある。打者の反応を探りながら、いかに打者の打ち気やスイング力を受け流すか、というイメージですね」
実際、各球種の回転数や変化量などのデータは昨季までと大きく変化していないという。それでもアンダースローの完成度は上がり、18.44mでの駆け引きに磨きがかかって精巧なものになっている。
