- #1
- #2
Number ExBACK NUMBER
「NFLで日本選手が初得点」歴史的快挙も…それでもレイダース・松澤寛政に立ちはだかる“厳しい現実”のワケ 試合後に残った「1/3」という数字の意味は?
text by

北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byNaoki Kitagawa
posted2026/08/26 17:02
プレシーズンも含めて日本人選手初となるNFLでの得点を記録したレイダースのキッカー・松澤寛政
4Q残り7分36秒、デア・オグンボウェイルの19ヤードTDラン。TFPで松澤が再びフィールドに立つ。
高さは問題なかった。横から見ていると、成功したように見えた。しかしボールは右にそれた。うつむきながらも、成功したときと同じように仲間たちに抱擁された。まだ機会は残っている。
試合最終盤、3度目の機会が訪れる。残り14秒、オコネルが自ら1ヤードを走って決勝のTDを奪った直後だった。挽回の気負いがあったのかどうかは分からない。ただ、このキックも同じように右へ外れた。またうつむき、また抱擁された。
ADVERTISEMENT
レイダースは後半にテキサンズを無得点に抑え、19点を奪って22-20と逆転している。チームは勝った。それでも、松澤の成績表には1/3という数字が残った。
この数字が意味するところは重い。
この日、FGを蹴ったのはゲイだった。52ヤードを1本、成功させている。松澤に与えられたのはTFPとキックオフで、FGのトライの機会は一度も回ってこなかった。役割は限定されている。キッカーというポジションは、成否がそのまま数字として残る。そして、チームに用意されたイスは1つしかない。
第1戦のカーディナルス戦では、38ヤードのFGを右のアップライトに当てて失敗している。プレシーズンの2試合を通して、松澤のFG成功はまだない。
プレシーズンにはバイウィークがない。第1週から3試合が3週連続で行われる。松澤に残されているのは、現地27日のサンフランシスコ・49ers戦だけだ。そこで機会が与えられるかどうかも、現時点では分からない。
開幕ロースターが固まるまでに、これまでの評価を挽回できるだけの成果が求められる。歴史的な1点は、そういう状況の中で刻まれたものだった。
なぜ「決められるはず」のキックが決まらなかった?
本来であればTFPは「決めなければならない」キックだ。ゴールまでは30ヤード強の距離にすぎず、これは松澤の実力をもってすれば、決して難しいものではない。
だが、決まらなかった。しかも3本中2本も、だ。では、なぜ決まらなかったのか? 試合後、ロッカールームで本人が明かした言葉は、意外なものだった。
<次回へつづく>

