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「NFLで日本選手が初得点」歴史的快挙も…それでもレイダース・松澤寛政に立ちはだかる“厳しい現実”のワケ 試合後に残った「1/3」という数字の意味は?
text by

北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byNaoki Kitagawa
posted2026/08/26 17:02
プレシーズンも含めて日本人選手初となるNFLでの得点を記録したレイダースのキッカー・松澤寛政
試合は序盤からテキサンズのペースだった。レイダースは1Qだけで17点を奪われる。20ヤードのタッチダウンラン、80ヤードのインターセプトリターンTD、51ヤードのFG。反撃の糸口すら見えないまま、前半を3-20で折り返した。
キッカーとして先発したのはゲイだった。試合開始のプレースキックを蹴り、0-17で迎えた2Q序盤には52ヤードのロングFGを決めている。
その間、松澤はヘルメットをかぶらずにサイドラインに立っていた。ゲイのプレーを見つめ、彼がフィールドに入り、そして戻ってくるのを迎えていた。
後半…ついに迎えた出番
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後半に入ると、ヘルメットをかぶった。入念にストレッチをし、ネットに向かってボールを蹴り込む。時折フィールドに目をやり、自分の出番が近づいているかを確かめていた。
レイダースが息を吹き返したのは3Qだった。エイダン・オコネルのショートパスと相手のパスインターフェアランスで敵陣深くへ進むと、ラウビーが14ヤードのパスを捕ってゴール前へ。残り4分57秒、そのラウビーが今度は自分の足で4ヤードを走り切った。
松澤がフィールドへ向かった。トライ・フォー・ポイント(※TFP。TDの直後に蹴り、成功すれば1点が加わる)である。
緊張感のある面持ちでセットし、ポストを確認する。スナップされたボールにアプローチし、蹴り出した。やや右にそれながらも、ボールはゴールポストの間を抜けた。
日本国籍の選手として初めて、NFLのプレシーズンゲームで記録された得点だった。
しかし松澤は、喜ばなかった。緊張した表情のまま、仲間たちとハグをして回っただけだった。
TFPの直後には、キックオフが控えている。
実はオープン戦の初戦となった現地13日のアリゾナ・カーディナルス戦では、そのキックオフが反則になっていた。蹴ったボールが所定のランディングゾーンに届かなかったのだ。この反則を取られると、相手は有利な位置から攻撃を始められる。つまり、飛距離が足りなかったということである。
松澤が表情を緩めたのは、そのキックオフを蹴り終え、サイドラインに戻ってきたときだった。

