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大相撲PRESSBACK NUMBER
「サンドバッグからものすごい音」武蔵丸、小錦…名力士を支えた老舗ジムのトレーナーが語る“相撲と筋トレ”「安青錦だけが…」
text by

天羽李子Riko Amo
photograph byTadashi Hosoda/JIJI PRESS
posted2026/08/28 17:01
力士の強さの秘密を語る、安青錦担当トレーナーの渡辺航平さん(左)、稽古でトレーニングに励む安青錦(右)
「1回、下手になるよ」
「例えば、1分間ひたすら、僕が投げたボールをすり足で取りにいくようなトレーニングもやります。疲れてくると、どうしても余計な力が入って体が硬くなりやすいんですが、安青錦は全然それがない。懸垂が得意なところも親方と同じですね。親方も懸垂はかなりやっていましたし、ディップス(平行なバーを両手でつかみ、体を上下させる自重トレーニング)も、脇の下から肋骨の側面にかけて広がっている筋肉、前鋸筋を狙って重点的に取り組んでいました」
もっとも、筋力がつけば、そのまま競技力の向上につながるわけではない。むしろトレーニングを始めた直後には、逆の現象が起きることさえあるという。
「相撲に限らず、アスリートが筋トレを始めると、いったん競技が下手になることがあるんです。筋力がつくと、その力に頼ってしまって、それまでやっていた体の使い方が崩れてしまう。だから担当するアスリートには最初に必ず『一回、下手になるよ』と言っています。でも、筋力と体の使い方がうまく融合できるようになると、格段に上手くなる。そこまでたどり着く前に、『下手になったから』とトレーニングをやめてしまう人も多いんです。ところが安青錦の場合は、下手になる期間が全くなかった。筋肉はかなりつきやすい方ですが、最初から筋力と体の使い方をうまく合致させていました」
動きやすい足幅
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安青錦が筋力を自らの相撲へ落とし込めている理由の一つとして、渡辺さんが挙げるのがバランス感覚の良さだ。
「相撲では、動いている時に両足がそろってしまうとバランスを崩して、相手にやられてしまいます。安青錦は、動きのトレーニングをしていて足がそろってしまうことがほとんどない。常に、自分が一番動きやすい足幅、スタンスを自然に取ることができるんです」
今年の春場所で左足を負傷してからは、その「足元」をより細かく見直すようになった。


