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《スペシャル対談》柴﨑聖人×中島照人、チャンピオンチームのエースが語る“王子スポーツ”勝利のメンタリティ
posted2026/08/27 11:00
王子の主力にして今秋のドラフト候補でもある柴﨑(左)と、レッドイーグルス北海道のエースにして日本代表主将を務める中島(右)
text by

日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hirohfumi Kamaya
王子グループの王子硬式野球部とレッドイーグルス北海道は、昨シーズンそれぞれ都市対抗野球大会制覇、アジアリーグ制覇を成し遂げ、同一シーズンに揃ってチャンピオンとなった。いわば〝王子スポーツ〟の根底に流れる勝利のマインドの正体とはなにか? 柴﨑聖人と中島照人、両チームのエースが初対面にして深く語り合った。
1926年に同好会「王子イーグル」として誕生した王子製紙アイスホッケー部(現・レッドイーグルス北海道)は今年で創部100周年、’57年創部の王子硬式野球部も70年目を迎える。同一企業を母体とするスポーツクラブが、これほど長きにわたり国内トップレベルで活動を続けている例は極めて珍しい。昨年、野球部は21年ぶりに都市対抗で優勝し、レッドイーグルスも7年ぶりの全日本選手権と14季ぶりのアジアリーグ制覇の2冠を達成した。歴史あるチームを頂点へ押し上げた若き主軸、柴﨑聖人と中島照人が初対面を果たした。
中島 対談前に練習を見させてもらいましたけど、打ったボールが全然落ちてこないですね。肩も強いし、走攻守そろった逸材なんだなと改めて実感しました。
柴﨑 そんなふうに見ていただいて、ありがとうございます。正直、僕はアイスホッケーに詳しくなくて……。でも2冠達成はすごいことだと思いますし、同じ王子のスポーツチームとして心強いです。
中島 僕はチームに加入して1年目でしたが、プレッシャーは感じていなくて、「自分が活躍すれば結果はついてくる」くらいの自信がありました。アジアリーグ優勝が決まった瞬間は、興奮というよりホッとした気持ちが強かったですね。何年も優勝から遠ざかっていましたから。ホームの苫小牧で、ファンの皆さんや家族に優勝を見せられて、やっと勝てたという思いでした。
柴﨑 僕も入社1年目で、右も左も分からない中での優勝でした。会社の方がたくさん球場に足を運んでくださって、東京ドームなので声援もすごく響くんです。勝ち上がるにつれて、プレッシャーというより、明日も試合ができるというワクワク感のほうが大きかったですね。
昨シーズン、両チームはともに劇的な逆転勝ちを幾度も演じた。追い詰められた局面でも、彼らの心は揺らがなかったという。
中島 全日本選手権決勝も、リーグ戦のプレーオフもリードされる展開でしたが、全然焦りはなかったですね。「最後には必ず僕たちが勝つ」という思いしかなかった。
柴﨑 僕たちも都市対抗の5試合中3試合が逆転勝ちでした。初戦はサヨナラ勝ちで、準決勝と決勝は8回に逆転。どんな状況でも「絶対チャンスが来る」と、ベンチの全員で声を掛け合っていました。
勝利のメンタリティを育む、選手の役割と責任
プレッシャーをはねのけ、ピンチでも動じないメンタリティ。その強さの背景には一体何があるのだろうか。
柴﨑 野球部では「5連勝して優勝する」という目標を達成するために、規律を徹底しました。A班とB班に分かれて、A班はプレー面、B班は球場の美化やモラルなどを担当します。各パートにリーダーがいて、毎月「勝つためにどうするか」を選手たち自身で話し合って決めるんです。
中島 僕らも昨年からそれによく似た取り組みをしています。7~8人のグループがあって、週ごとに「今週はこの相手だからこういうプレーを想定しよう」と全員で共有しています。メンタルコーチにも入ってもらって、プレー以外のアプローチも選手主導でチームに落とし込んでいます。
柴﨑 一人ひとり役割が決まっているからこそ全員が責任を持つようになりましたし、実際のプレーにも生きていると感じます。
中島 チームとしてテーマを作って取り組むことは、結束力にもつながりました。ビハインドでも焦らなかったのは、まさにそうやって自分たちで定めたテーマに沿って質の高い練習を積み重ねてきた自負があったから。周到な準備と、選手間での課題共有がしっかりできているからこそ、ピンチでも動じない。これが両チームに共通する「王子イズム」なのかもしれませんね。個人のプレーに目を向けると、等身大のアスリートとしての姿も見えてくる。
中島 野球って必ず自分の打席が回ってきますよね。緊張するものですか?
柴﨑 チャンスの時はやっぱりしますね。都市対抗決勝の8回、ノーアウト満塁で回ってきた時は、スタンドからの応援を背中で感じて緊張しました。中島さんは?
中島 スタートは少し緊張するけど、一度氷に乗ってしまえば大丈夫。でも、ここぞという大チャンスの場面ほど力が入りすぎちゃって、ゴールを決められない(笑)。
柴﨑 分かります! 僕も決勝では力んでしまって……後続の先輩が打って走者をかえしてくれました。中島さんの言葉からはすごく自信を感じますが、自分のメンタルをどうやって作り上げていますか?
中島 不安な時ほど自分が何を大事にすべきかを整理して『よし、今日は楽しもう』と決めてから試合に向かうようにしています。仮に結果が出なくても、いつもやっていることを変えずに辛抱強くやり続ける。それが良い結果につながったことで今の自信につながっているのかなと思います。
今季は両チームともに「連覇」を懸けた戦いに挑む。さらに柴﨑は9月に開幕するアジア大会で日本代表に初選出。世界選手権で代表キャプテンを務めた中島と同じく、日の丸を背負う舞台が待っている。
柴﨑 先日ユニフォームの採寸があって、今は届くのを待っている状態なんです。
中島 僕も初めは緊張しましたけど、日の丸を背負う舞台を全力で楽しんできてほしい。楽しめば絶対活躍できると思うので。僕自身のこれからの戦いで言うと、周囲からの期待の大きさは感じています。それをいいプレッシャーにして、昨季に続いてもう一回、完璧なシーズンにしたいですね。
柴﨑 僕たち野球部は都市対抗連覇を目指します。自分にはプロへの思いもありますが、今は何よりチームが勝つことが最優先。目の前の試合に全力で取り組み、会社やファンの皆さんに今年も東京ドームで最高の歓喜を届けられるよう頑張ります。




