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「そのときだけは野球のことを考えなくていい、と」DeNA深沢鳳介が“絶望”から復活、初完封に至った意外なきっかけ「旅したことで新鮮な感覚に」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byTakashi Ishizuka

posted2026/08/24 11:01

「そのときだけは野球のことを考えなくていい、と」DeNA深沢鳳介が“絶望”から復活、初完封に至った意外なきっかけ「旅したことで新鮮な感覚に」<Number Web> photograph by Takashi Ishizuka

今季プロ初勝利をつかむと、その後初完封まで達成し先発陣の一角をうかがう深沢。トミー・ジョン手術からの復活を助けてくれた「ある時間」とは

「本当、ケガもあって、この舞台で活躍して、あの光景を見るのが目標だったので、うれしかったですね……」

 噛みしめるように深沢は言った。

 振り返れば2024年シーズン、3年目の深沢は、練習試合やオープン戦で好投し、ローテーション入りを期待されていた。しかし春季キャンプ最終日に開催された楽天戦(宜野湾)で、右肘内側側副靱帯を断裂し、TJ手術を余儀なくされてしまう。これからだというタイミング。深沢の落胆は激しく、脳裏には“絶望”の文字が浮かんだ。

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 光明が見えない時間。TJ手術をし、落胆の日々を過ごしていたとき、ある出来事が、深沢の気持ちを切り替えさせた。傷心の深沢を救ったのは“旅の空”だった。

1週間のリフレッシュタイムで深沢がしたこととは

 手術をして1カ月ほど経ち、ギプスが外れたころ、当時投手コーディネーターだった桑原義行氏に次のように言われたという。

「野球のことを考えなくていいから、好きなことをしてリフレッシュしてこい」

 この提案について桑原氏は、次のように説明してくれた。

「正直、TJ手術後はやれることが少ないので、この時間を有効に使えないかと以前から考えていたんです。聞けば深沢もちょっとへこんでいるということだったので、球団と現場で協議をして、改めて野球に向き合えるような時間を作って欲しいと伝えました」

 深沢は、球団から1週間のリフレッシュタイムを与えられた。そのときの心境を、深沢は吐露する。

「これまで野球三昧の人生だったので、ここは素直に好きなことをしようと思いました」

 小学生から野球を始め、以来、夏休みも冬休みもなく四六時中野球に没頭してきた。

「やっぱりどうしても野球のことばかり考えてしまうので、桑原さんから『野球のことは考えなくていい』と言われて、ちょっとホッとしたというか、とてもありがたかったですね」

初めての海外ひとり旅

 深沢は旅に出ることにした。行先はオーストラリアだった。

「以前から海外に行ってみたいと思っていたんです。またオーストラリアは、ウィンターリーグに挑戦したいと思っていて、身近に感じていた場所でした。距離的にもちょうどいいですし、ひとりでも行動しやすいかなと思って」

 太平洋を南へ。深沢は、野球をプレーしだしてから初めて物理的にも心理的にも距離をとり、外国をひとりで旅し、異文化に触れ、大自然を享受した。自由な環境に身を置くことで、凝り固まっていた心がほぐれていくような感覚を味わった。

【次ページ】 野球選手としてだけでなく、人間として成長できた

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