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「そのときだけは野球のことを考えなくていい、と」DeNA深沢鳳介が“絶望”から復活、初完封に至った意外なきっかけ「旅したことで新鮮な感覚に」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byTakashi Ishizuka

posted2026/08/24 11:01

「そのときだけは野球のことを考えなくていい、と」DeNA深沢鳳介が“絶望”から復活、初完封に至った意外なきっかけ「旅したことで新鮮な感覚に」<Number Web> photograph by Takashi Ishizuka

今季プロ初勝利をつかむと、その後初完封まで達成し先発陣の一角をうかがう深沢。トミー・ジョン手術からの復活を助けてくれた「ある時間」とは

「じゃあどうすればいいのか。彼がいいなと思うのは、そこで頑なにならず、現実をスマートに受け入れ、新たな取り組みをしたことです。わたしとしては、このわずかな期間(約2カ月間)で克服するとは思いもしませんでした。彼自身、考えに考え、努力をした結果だと思います」

 深沢は初勝利から4連勝を飾るなど、自分の選択は間違っていなかったと証明し、自信を深めていった。

「まさか」のプロ初完封

 そして、まだシーズンは残っているが、深沢の今季のハイライトになりそうなのが、7月18日のヤクルト戦(横浜スタジアム)で完封勝利を収めたことだろう。マダックスまであと一歩の103球、被安打4、奪三振5、無四死球というほぼ完璧な内容だった。

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「自分でもまさかこんなに早く完封できるとは思っていませんでした」

 驚きを隠さず深沢は言った。バッテリーを組んだのは、オフに西武から移籍してきた古市尊だった。

「古市さんとはファームでもバッテリーを組んできたので、いつも通りというか、まんべんなく球種を使っていく流れでピッチングをしました。また古市さんはテンポがよく、すぐ返球してくれるので、自分としてはすごく投げやすかったですね」

 7回表には無死一、二塁とピンチを迎えるが、ここは深沢らしく投ゴロの併殺で乗り切り、そのまま最後まで駆け抜けた。完封を意識したのはどれぐらいのタイミングだったのだろうか。

「いや本当、とにかく1イニング、1イニングという感じでした。8回が終わってベンチに帰ってくると小杉(陽太)コーチから『どうする?』と訊かれて、『行きます!』と伝えました」

ファームでも9回まで行ったことなかったのに

 8点リードの状況、もちろん深沢に断る理由はなかった。そして達成感を漂わせ、ハマの精密機械は言うのだ。

「ファームでも9回まで行ったことなかったのに、一軍の舞台でまさか完封できるなんて自分でも驚きましたし、本当に自信になりました。今後に向け『行ける!』という実感を得ることができましたし、非常に大きな経験になったと思います」

 この勝ち星は、横浜スタジアムにおける初勝利でもあり、深沢は初めてお立ち台に上がった。その日、家族が訪れていたという青く染まるスタンドを見上げ、胸にこみ上げるものがあった。

【次ページ】 1週間のリフレッシュタイムで深沢がしたこととは

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