甲子園の風BACK NUMBER
「シビれる戦い」イチローが称えた甲子園決勝「下級生からも教わって」「想定内、想定内」健大高崎も智弁和歌山も…なぜ順風満帆でなくても頂点を争えたか
text by

間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/23 17:03
2020年、智弁和歌山を指導した際のイチローと中谷仁監督(代表撮影)
「先輩や同級生、下級生からも色々と教わっています。自分が質問された時は、何でも答えます。ライバルではありますが、教え合うことで自分もチームメートも成長できると考えています」
北田自身も、入学後に仲間からカーブの握りやリリースを教わり、現在は軌道の異なる2種類のカーブを操るようになった。準決勝までは計7イニング無失点。「2種類のカーブが効果的だと感じています」と手応えを口にする。
多彩な投手を育て、その特徴を捕手が引き出す。教わった選手が、今度は他の仲間に伝える。その循環が、健大高崎の投手力を支えている。
ADVERTISEMENT
今夏、健大高崎はそれまでの最高成績だった夏の甲子園ベスト8を更新し、準優勝までたどり着いた。センバツではすでに2024年に頂点を経験している。甲子園出場を目標とする段階から、春夏ともに日本一を狙うチームへと成長した。
だからこそ、大岩は最後の1球まで自分の責任として受け止めたのだろう。6人の投手を支え、仲間に厳しい言葉を投げかけ、決勝までチームを導いてきた捕手は、準優勝という結果だけでは満足できなかった。
多彩な投手陣と、その個性を束ねる捕手。健大高崎が築いてきた形は、夏の頂点まであと一歩のところに迫った。「6人の投手をリードした甲子園での経験は、次のステージで必ず生きると思っています」と大岩。届かなかった1点への悔しさは、やがて財産となる。
イチローも称賛したほどの熱戦
その健大高崎との接戦を制して、5年ぶり4度目の栄冠を手にしたのは智弁和歌山だった。優勝を受けて同校を指導したことで知られるイチロー氏がマネジメント会社を通して智弁和歌山、健大高崎の両校を称えるコメントを寄せている(原文ママ)。
《智辯和歌山の皆さん、優勝おめでとうございます。和歌山県大会から苦しんできた攻撃が甲子園準々決勝から爆発し、そこからは智辯和歌山らしい野球で頂点に立ちましたね。
僕の高校野球との関わりは、2020年、智辯和歌山高校からはじまりました。そこから多くの学校と関わらせてもらい、公にはなっていませんが、健大高崎高校ともご縁をいただきました。
直接関わった2つの学校が甲子園の決勝で対戦するのが僕の夢の1つで、今日それが叶い感激しています。全国で一番長い夏を過ごし、痺れる戦いを見せてくれた両校に、心から敬意を表します。》
逆転されても「想定内、想定内」と言ったワケ
イチロー氏が苦しんできたと表現した通り、智弁和歌山も決して順風満帆だったわけではない。

