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井上尚弥戦の2カ月前に急逝…中谷潤人は“おじいちゃん”の元へ駆けつけた「会いに行かなくちゃ、と」井上戦のトランクスに“ごはん”の文字…なぜ? 

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宮田有理子

宮田有理子Yuriko Miyata

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/06/04 11:00

井上尚弥戦の2カ月前に急逝…中谷潤人は“おじいちゃん”の元へ駆けつけた「会いに行かなくちゃ、と」井上戦のトランクスに“ごはん”の文字…なぜ?<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

井上尚弥を相手にプロ初黒星を喫した中谷潤人。トランクスに記されていた「コミダ」の意味とは

「洗濯物はそこへ置いておけ、と言ってくれて。家に洗濯機はなくて、水曜日と金曜日がコインランドリーに行く日なんですが、夜にはリビングのソファに洗濯物をきれいに畳んで置いておいてくれるんです」

「コミダ!」二人の合言葉

 午前、午後の練習も、食事も一緒だった。近所のチキン屋さんへ、散歩がてらよく行った。

 ジュントが注文する「コミダ」はたいてい、「ナンバー9」か「ナンバー12」のメニュー。

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 やがてそれが、ふたりのミット打ちの合い言葉になった。

 「ナンバー9」とグランパが言えば、ジャブを出す。「ナンバー12」は、右アッパー。そして「コミダ」は、腹、ボディブローだ。

 中谷が日本でプロデビューし、全日本新人王、日本王者を経て、世界チャンピオンとなっても、二人の合言葉は変わらなかった。試合前に必ずやって来るロサンゼルスでのトレーニング・キャンプ中、顔を合わせれば、グランパはジュントに向かって、打って来なさいと両手を構えた。

 その息の合った、対話のようなやりとりは、老いゆくロドルフォさんにとって何よりの楽しみだったに違いない。

ロドルフォさんの激動生涯

 2023年12月、血行不良を長年放置したため壊死した左脚を切断。それでも入院中のベッドの上で、「もうすぐジュントが練習に来るからね」と再会を待望し、ゴムチューブを使って筋トレをし、「ランチタイム! コミダ!」と拳を振った。翌月、無事に迎えた91歳のバースデーパーティー。世界3階級制覇がかかる対アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)戦を前にした合宿中の中谷は、スパーリングで体を追い込んだ後に向かった。パーティー会場に着くやテーブルやイスを並べたりデコレーションを手伝ったり、グランパのために、準備から心を込めた。

 車いす生活になってもロドルフォさんは、ジムへ行けば上機嫌だった。座りながらでも生き生きと、まるで昔と同じように中谷の拳をその手で受け止めた。

 そんな父を息子のルディは黙って介助していた。口喧嘩も絶えなかったが、父の本当の姿をルディは知っていた。

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