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「以前なら弱音、グチっただろうけど」W杯落選→米国でメッシとも対戦→32歳引退、元日本代表FW久保裕也のいま「永住権を…子供たちも楽しそうで」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/05/24 06:04
現在はアメリカ在住の久保裕也。32歳での引退を選んだ元日本代表FWが話した今と、今後の人生プランとは
それに「日本人だから、アメリカにいたとしても日本が故郷であることに変わりはない」とも考えている。今の住まいは大きな一軒家で、3人の子供と妻と5人で暮らしている。似たような一軒家が多く連ねる一画があり、そのエリアに入る前にはセキュリティゲートがある。そして、敷地内には居住者しか使えないプールやバーベキュー場もある充実した環境だ。
「ヨーロッパの街が魅力的なのは自分も住んでいたからよく知っていますし、子供が1人だったらそこで暮らしても不自由はないです。ただ、うちは3人いるので。今の環境だと子供たちも毎日楽しそうで、伸び伸び育てられる。それに、アメリカって、休日に暇をもてあますことがないんですが」
例えば、日曜日。ヨーロッパではスーパーが休みで、営業しているレストランが限られていたりもする。アメリカは違う。
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「農場で開かれるイベントや子供向けのアクティビティ。警察が主催する市民のためのイベントなどもあります。山ほどあるので、選択するのが難しいくらい。もちろん、ニューヨークとかLA(ロサンゼルス)など行ってしまうとまた別かもしれないですけど、僕らのいるオハイオ州のシンシナティは田舎で、自然もたくさんありますから」
MLSから依頼を受けた取り組みも有意義ですし
静かにスタートした第二の人生だが、すでに進めている新プロジェクトがある。それを発表できる日を今は、心待ちにしている。他にも、先日はMLSから頼まれ、新しくリーグにやってきた日本人選手向けのレクチャーをオンラインで行なったりもした。
久保はこれからの活動をこう話す。
「これだけをやろうと、決めたくはないんですよ。将来は、代理人的な活動もいいかもしれないですし、今回、MLSから依頼を受けた取り組みも有意義ですし。せっかくアメリカに住んでいるので、MLSと日本人をつなぐ仕事もいいですね」
実は、以前シンシナティでマネージャーを務め、懇意にしていた日本人がいる。今は別のチームで働いているのだが、彼が6月に始まるW杯の期間中に日本代表をサポートする仕事を任された。
「彼とは仲良くしていたので、『本当に良かったね』と伝えたんですけど、『俺の方が日本代表に関わりあるのに……先にそういう依頼があって、いいなぁ』と思いましたね」
そう言って、久保は笑顔を見せた。
かつての仲間を心から祝福しつつも、日本サッカーの発展に直接貢献できるのを少しだけうらやましく思う。それは、久保が悔いを残すことなくプロサッカー選手をやめ、次のステップに踏み出しているからこその静かな感情だった。〈全3回。つづきは下の【関連記事】第1回から〉

