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号泣する木原龍一に「泣かないで」笑顔の三浦璃来と何度も見つめ合い…「お互いがお互いのために…」引退会見で最後まで見えた、りくりゅうらしさ
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2026/04/29 17:02
引退会見冒頭、号泣する木原龍一に笑顔で声をかける三浦璃来
会見中、りくりゅうは何度も見つめ合って…
スケートでも、人としても、両面での相性はあっただろう。それを大切に育んできたからこそ、今日がある。
壇上に座る2人のしぐさもまた、2人の歩みを示していた。会見冒頭、涙する木原への三浦の眼差しをはじめとして、ときに相手を気遣うように、あるいは気持ちをたしかめるように目を合わせる姿には、互いを尊重する姿勢と思いやりがあった。自然にそうできるのも、時間とともに培った関係性にほかならない。
そしてこの日は、新たなスタートへの意思表明の場でもあった。
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木原は言う。
「今後はプロとして活動させていただくことを予定しております。現役中は日本の皆さまにペアの技をお見せする機会が限られてしまっていたので、まだ細かい内容は決まってないんですけれども、今年中にいろんなところを回ってペアの技をお見せしたい。どんな形になるかわからないんですけども、スケート教室なのか、小さいショーなのかわからないんですけども、そういったものをやっていきたいなっていうふうに思ってます」
その先に思い描くものもある。指導者への道だ。
「指導の勉強であったり資格の問題で4、5年かかるのではないかなと思いますが、将来、指導者になったとき、自分たちはいろいろけががあったり、いろいろなことを経験したので、その経験を生徒たちに伝えていけるように。技術だけでなく食事だったり、メンタル、そういった部分のサポートも一緒にやっていきたいと思います」(木原)
「どうやって指導するのかとか、まだまだ私たちは学ばないといけないことがたくさんありますし、まだ時間がかかると思っています。私たち自身にはたくさんのコーチがいて、けんかをしたときに間に入ってくださるコーチであったり。私たちも技術だけじゃなくて、生徒一人一人をきちんと見て寄り添い合える、メンタル面でもサポートができるコーチになりたいなというふうに思ってます」(三浦)
三浦の笑顔と、木原の包容力
結成以来、日本のペアの歴史を塗り替える活躍を続けてきた2人は、三浦の天真爛漫な笑顔と、それを包み込む木原の包容力と、2人の創る幸福な空気も武器として、世界を魅了した。
会見が終わり、2人が退く。会場からは拍手が贈られた。その拍手は、彼らが氷上に刻んできた軌跡への称賛であり、「夜明け」をもたらした2人への敬意だった。
氷の上で、互いを信頼し、困難を乗り越えた2人の物語が忘れられることはない。そして物語は、これからも続いていく。
(撮影=榎本麻美)


