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「あの璃来が、まさか」「飛ばされても“イエーイ!”」少女・三浦璃来は忘れ物しがちでも“ペアの申し子”「高橋成美ちゃんはカナダに」恩師の記憶
text by

山田智子Tomoko Yamada
photograph byAFLO
posted2026/05/02 11:01
2018年、当時16歳の三浦璃来。少女時代からフィギュアペアでの資質を見出されていた
「ペアって、男性にパワーがあれば上がるわけではないんです。女性が腕や体幹を使って自分の身体を支えていないと男性は重たく感じてしまいます」
バーを使って、自分の腕で自分の身体を支え、開脚状態で10秒キープする。女性の側がピーンと張っていないと、男性はうまく持ち上げることができない。
木原が片手で三浦を持ち上げられるのも、三浦が体幹で支えているからだ。
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「ペアを始める選手には、『2人が一つになったものがペア競技なんだから、お互いを尊重して、コミュニケーションを取ることが大事だよ』というブルーノの教えを、最初に伝えています」
男女比の偏りと、マルコットコーチの「目利き」
男女比の偏りは、毎年の悩みの種だった。女子が10人以上集まる年も、男子は3、4人。1、2人しかいない年も多かった。
「男の子たちはずっとリフト、リフト、リフトで。大石先生もそこに加わって、最後は筋肉痛でヘロヘロになっていましたね」
だが、この偏りにより、ペア教室に木原が手伝いとして呼ばれたことが、りくりゅうペアの結成につながった。
ペア教室で特筆すべきは、りくりゅうペアのコーチでもあるマルコットコーチの「目」の確かさだ。
「数日間のレッスンを通して、何人かを交互に組ませるんですけど、『あの子とあの子、組ませて』『あの子とあの子、いいね』ってすぐにわかるんです。ゆなすみペア(長岡柚奈・森口澄士)も『あの2人いいね』と言ったのはブルーノでした」
ペア教室を通じて結成されたのが、三浦・市橋翔哉ペアだ。
「2015年に結成して、私も少し振り付けをしました。2人が組んだことで、璃来ちゃんも世界ジュニアなど経験を積むことができた。翔哉くんもとても良いスケーターで、ペアに向いていました」
高橋成美・トラン組の道筋を作ったのも…
若松さんは妊娠出産の期間と重なりながらもペアの強化に全力を注いできた。それでも、常にもどかしさを抱えていたと語る。
「ペア教室が何かのきっかけになっていたら嬉しいです。でも、ほとんどの選手が普段はシングルの練習をしていて、ペア専任の先生もいない。全然練習量が足りないな、もっとガッツリやらせてあげたいなといつも思っていました」
話は遡るが、木原の最初のパートナーである高橋成美さんとマーヴィン・トランとペアを組む道筋を作ったのも、実は若松さんだった。

