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「まだ、できます!」少女・三浦璃来は練習後の夜に笑った…NHK解説で「半分泣いてました」恩師だけが知る、引退りくりゅうのエピソードゼロ
posted2026/05/02 11:00
五輪金メダルを花道に引退を決断した「りくりゅう」。恩師が語るエピソードゼロとは
text by

山田智子Tomoko Yamada
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
NHKラジオ解説「待って待って」「半分泣いてました」
「こういうことが起こるんだなって、衝撃を受けました」
今年2月のミラノ・コルティナ五輪。三浦璃来・木原龍一ペアがフィギュアスケートペア競技で日本史上初の金メダルに輝いた。その歴史的瞬間を、ラジオ局のスタジオで「たかぶる感情を押し殺しながら」見つめる一人の女性がいた。小学生の三浦を指導した元カナダ代表ペアスケーターの若松詩子さんだ。フリースケーティングのNHKラジオ解説を担当していた。
フリープログラム『グラディエーター』。どこか物悲しい、けれど美しい曲に合わせて、穏やかな表情の三浦と少し緊張した面持ちの木原がゆっくりと動き出す。
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最初の3回転ツイストリフト、三浦が高く舞い上がり、木原ががっちりとキャッチする。息の合った3連続ジャンプ。続いて、前日のショートプログラムでまさかのミスが出たアクセルラッソーリフトも完璧に成功させた。
「もう、『待って、待って』という感じで。どんどん技が決まっていって。2人がゾーンに入っていたので、『これはちょっとすごいぞ』と。解説をしながら、半分泣いていました。本当は(高橋)成美ちゃんのように『こんなことってある?』って叫びたかったんですけど、心を押し殺して、冷静に解説を続けました」
これまでの日本のペアの状況を考えると…
後半に入り、力強く、希望に溢れた曲調に変わると、三浦の表情に聖母マリアのような慈悲深さが宿ってくる。スロートリプルループ、リフト、大技が決まるたびに会場は大歓声に包まれ、三浦が天高く拳を突き上げると、熱気は最高潮に達した。
自己ベストを更新する158.13点。フリーの世界歴代最高得点を塗り替えての逆転優勝だった。中継映像に「三浦璃来・木原龍一ペアが金」のテロップが表示される。「優勝した!金メダルだよ」と若松さんは周りにいたスタッフと手を取り合って歓喜した。

