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「障がいが分かっていたら産まなかったの?」美馬学(ロッテ)の問いに妻・アンナは…「あの時、信じて良かった」夫婦が向き合った子育てと引退秘話
posted2026/03/31 11:00
引退セレモニーで抱き合うロッテ・美馬学と夫人のアンナさんらファミリー
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
SANKEI SHIMBUN
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2019年10月、二人の間に生まれた長男は先天性四肢欠損症だった。右手首から先のない我が子を前に、アンナさんは打ちひしがれ、病室でこう漏らした。
「お腹の中にいる時に(障がいが)分かっていたら良かったのに」
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すると美馬はこう返した。
「お腹の中にいる時に分かっていたら、産まなかったの?」
さらに彼は言葉を続けた。「俺はこの子が、俺とアンちゃんの間に生まれてきて良かったと思ってもらえる位、幸せにしてあげられる自信があるよ」。アンナさんはこの言葉を6年以上経った今もはっきりと覚えている。「張り詰めていた気持ちが解けていくようでした」とアンナさんは振り返る。
知らなかった…陰で涙していた夫の姿
実は美馬は陰ではアンナさんの母に電話し、泣きながら「本当にすみません」と謝り続けていた。しかし妻の前では常に明るい顔でポジティブな言葉をかけ続けた。その事実を後から知ったアンナさんは「彼の心の大きさというものを、あらためて尊敬しました」と語る。
あの時の誓いは、その後も有言実行され続けた。息子が何かできないことにぶつかるたび、美馬は「じゃあどうしたらできるか考えてみよう、一緒にやってみようよ」と丁寧に寄り添い続けた。「あの時、信じて良かったなって。この人は本当に父親になるべき人だったんだなと思えてすごく嬉しいし、ただひたすら感謝です」とアンナさんは言う。
昨年秋に現役引退を決め、迎えた引退試合では限界を超えた右肘が壊れ、後日「右肘屈筋共同腱断裂」と診断された。それでも投げ続けた夫の姿を、アンナさんはこう表現した。
「投げる姿でメッセージを残したように感じて、感謝の気持ちでいっぱいになりました」
夫婦の信頼と絆を深めた物語は、本編でさらに詳しく語られている。〈つづく〉
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