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「不安すぎて泣いてしまったり…」17歳・中田璃士が“日本男子初”快挙の現地舞台ウラ…来季シニアデビューの“次世代エース”が語った自信 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2026/03/10 11:00

「不安すぎて泣いてしまったり…」17歳・中田璃士が“日本男子初”快挙の現地舞台ウラ…来季シニアデビューの“次世代エース”が語った自信<Number Web> photograph by AFLO

歴代最高点を記録した中田璃士の世界ジュニア選手権SPの演技

じつは疲労骨折を抱えていたシーズン

 実は中田はこのシーズンが始まる前から、左足に痛みを抱えながら滑っていたことを告白した。

「それを言ったらドクターストップがかかるのは分かっていたので、とりあえずグランプリが終わるまでは誰にも言わないでやっていました」

 歩いているだけで痛みがあった。後の検査では、 左足甲の中足骨が3カ所ほど疲労骨折を起こしていたことが判明。ジュニアGP2戦が終わった後、休みを2カ月近くとったが、そのうちの1カ月は右足だけで滑っていたのだという。だがこの休みの間に上半身を鍛えたり、自分と他の選手のジャンプを映像で比較して分析する時間を持つことができた。

「大きな意味がある」キス&クライで見せた涙

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 この世界ジュニアでは、最初から「勝ちにこだわっていく」と明言していた。フリー「グラディエーター」では4回転2本の構成にして、4サルコウ、4トウループをクリーンに降りた。残りも最後までノーミスで滑り切ってフリー178.96、合計268.47と、いずれもジュニア世界最高得点を更新させた。優勝が決まると父でもある中田誠人コーチの横で、涙ぐんだ。

「年齢制限でシニアに行けない中で、自分の中では、すごく意味のある2連覇でした。(GP)ファイナルで2連覇がかかっているときに、それがかなわなくて、悔しい思いをしたので。そこから、この2連覇を達成できたのは、シニアの大会と比べたら全然大したことはないですけど、自分の中ではすごく、大きな意味がある試合でした」

 父親として、コーチとして、子供の時から見守ってきた中田コーチは演技前に、「もう何回も跳んできてるジャンプばかりなので、自分の感覚を信じて思い切りいきなさい」と伝えたのだという。

携帯の画面で見せた“ある人物”

 中田選手は、この中田誠人コーチとイギリス人の母との両親の間に、英国のカーディフで誕生した。生後まもなく日本に戻ってきたが、今でも家の中での会話は英語だという。

 バイリンガルの彼は社交的で海外の選手の友人も多く、会場ではいつも人に囲まれている人気者だ。今回キス&クライでは、怪我でこの大会に来ることができなかった親友、カナダのグレイソン・ロングの写真を携帯の画面に出してテレビカメラに向けた。

 わずか2カ月の差でISUが定めたシニアの年齢制限に足りなかった彼は、ミラノオリンピックシーズンもジュニアのまま見送った。だが代わりにこうして日本男子として初めて、世界ジュニア選手権連覇を達成した。

【次ページ】 「4回転アクセルに挑戦していきたい」

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