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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「実は周到に準備」高橋成美が明かす五輪“名解説”ウラ事情と木原龍一との“なるりゅう”ペア秘話「ペアの技を一つも知らなくて名前から覚えて…」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/24 17:01
ミラノ五輪でのペア競技の名解説に秘められた準備と思い、そして木原龍一選手との“なるりゅう”時代の思い出まで、高橋成美さんに聞いた
コメントのタイミングに細心の注意を
「これはフィギュアスケートならではなのですが、曲と演技の調和は選手が一番力を入れているところです。それを大事にするために私自身、曲の流れの中でしゃべるタイミング、例えば曲との調和が一番出ているところやエレメンツが入るところなど、しゃべってはいけないところは事前の取材でメモを用意して、頭のなかにも入れていました。
曲が盛り上がるところで解説が話し出すと曲が聞こえにくくなって、それに合わせて演技している二人の良さが100%伝わらない感じになってしまうからです」
曲と演技が盛り上がってきた時に解説がかぶると、どうしても視聴者はその話に気を取られて、演技している選手を見てはいるが意識が少し離れてしまいがちだ。極端に言えば、解説が雑音になってしまいかねない。そうした弊害を生じないように、高橋さんは細心の準備をしていた。
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「選手が技を出したときは、技の途中ではなく、完成されたタイミングで話すようにしています。でも、演技はどんどん続いていくので、次のエレメンツの話に影響しないよう、タイミングを逸して遅れないことにも気をつけないといけないんです」
実際に高橋さんの解説を聞いていると、選手が技を見せた後でその名称と出来について端的に伝え、時にはエモーショナルな言葉で素直に感動を表現している。選手が一番大事にしている、曲と調和する演技が、最大限視聴者に届くように余計なおしゃべりを一切省き、ペアの魅力を100%伝えているのだ。
りくりゅうの演技には思わず立ったまま解説
ただ、りくりゅうの演技の途中からは、自身の興奮を抑えることができなかった。
2回目のスロージャンプが成功した際には放送席で立ち上がり、演技が終わるまで立ったまま氷上の二人に心から声援を送りつづけたのだという。158.13点の世界歴代最高得点が出た時は「最高!!」と声を上げた。もちろん、その後のペアの演技では冷静な解説に戻っていたことは言うまでもない。
りくりゅうの金メダルが決まると、涙が止まらなかった。

