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「ベストか次善手しか」「指し手が的確すぎ」藤井聡太の恐るべき精度に屈した永瀬拓矢だが…高見泰地は「王将戦、いい番勝負になる」と見るワケ 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph by日本将棋連盟

posted2026/02/04 06:02

「ベストか次善手しか」「指し手が的確すぎ」藤井聡太の恐るべき精度に屈した永瀬拓矢だが…高見泰地は「王将戦、いい番勝負になる」と見るワケ<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

おなじみの藤井聡太vs永瀬拓矢。王将戦でも実現したこのカードの戦いを高見泰地が語る

「先手が封じ手で7四の地点に歩を打ちましたが、それを後手が指しておくのが有力だったと思います。意味は、次に8一の桂を安全に跳ねること。歩を打たずにすぐに跳ねると、先手に▲7四歩と打たれて桂損が確定してしまいます。後手が7四に歩を打ってから△7三桂と跳ねればすぐに取られませんし、将来△6五桂とジャンプできますから。こう指せば形勢は難しかったと思います。ただ結果論ですし、普通の棋士同士の対局だったら、ここが急所にはならないと思います」

――なるほど、終盤でミスが出て形勢が動く可能性が高いからですね。しかし9筋にアヤをつけただけの手が結果的には指しすぎになったというのは驚きです。

「これを指しすぎにできる人は藤井王将以外にいるでしょうか。局面を複雑化しようとしたこの手筋がうまくいくことも普通にあると思うんです。ただ本局は複雑化したはずの局面から藤井王将に最善の連続でこられて終局してしまいました。局面を複雑にして選択肢を多くすれば普通は間違えやすくなるのですが、藤井王将には『複雑さ』なんて関係ないのかもしれません」

恐ろしいことに藤井王将はベストか次善手しか

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――以降は最善を連発したという藤井王将ですが、印象に残った好手はありますか?

「71手目に3筋の歩を突っかけてからの一連の手順ですね。このあと先手は4一に馬を作って玉頭をうまくいじって、後手陣を乱すことができました。最後は飛車を3九に寄って、取られそうな3七の桂にうまくヒモを付けています。流れるような妙手順です。後手陣はどこを触られても気持ちが悪いですし、3六の馬の位置も急所から外れているので先手玉が安泰です。あと▲6五歩と銀取りに打つ手もある。ここで先手の優勢が目に見えて明らかになりました」

――この順はかなり指しにくいのですか?

「どれだけ持ち時間があってもこの手順を指せる人は相当いないと思います。この局面ではつい▲2三歩と王手で打ちそうになります。普通の手で悪いわけではないのですが、自分のAIで調べても明らかに本譜の3筋の歩を突っ掛けた手の方が勝ってますね。▲2三歩だと先手の評価値はプラス100点くらいですが、本譜はプラス300点が出ます。本譜がベストで、▲2三歩は3番手の評価ですね。例えば自分だと候補手の上位3つぐらいはおおよそ視野に入ってきます。3番手以外の手を指してしまう時は調子が悪いし、反省材料になります。ただ恐ろしいことに藤井王将はベストかせいぜい次善手しか選ばないので、相手が3番目の候補手を選んだ瞬間に差がついてしまいます」

今シリーズは本当にいい番勝負になる気がします

――相手もベストか2番目の手を続けないと形勢に差がついてしまうのですね。

【次ページ】 第3局…永瀬九段ほどの棋士なら

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