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プロ野球PRESSBACK NUMBER
名将・広岡達朗の“異変”「90歳を超え、最愛の妻を亡くし…」取材者が痛感した“老いという現実”「広岡さんの“心のスイッチ”は押せるのか?」
text by

長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byToshiya Kondo
posted2025/12/04 11:01
2009年の広岡達朗(当時77歳)。90代を迎えて以降、カメラの前に姿を見せる機会は激減していた
「今日もダメだったか…」無力感に苛まれる日々
それでも、意を決して電話をすると、初めて聞くエピソードが披露されることもあった。前述したように、それは1時間のうち、20分程度ではあった。その20分のために、ちぐはぐなやり取りを延々と繰り返すことになるけれど、それでも「今の話は初めて聞いた」という手応えがあれば、取材者としての喜びも大きかった。
しかし、その喜びがまったく得られないことが次第に増えていく。最初から最後まで噛み合わないまま、虚しく時間だけが過ぎていくことも多くなっていく。
(あぁ、今日もダメだったか……)
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無力感と徒労感とに苛まれていた頃、私の胸の内にはいつも「スイッチ」が想起されていた。広岡達朗の頭の中にある記憶のスイッチ、心のスイッチを探し求めて、暗闇の中で手探りを続けている自分の姿である。
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