相撲春秋BACK NUMBER

「左ヒザの大ケガ、まさかの2度目の転落…」元大関・朝乃山が見た“どん底”…記者が密着した復活劇「これが“最後の”平塚合宿となる覚悟です」 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/11/13 11:03

「左ヒザの大ケガ、まさかの2度目の転落…」元大関・朝乃山が見た“どん底”…記者が密着した復活劇「これが“最後の”平塚合宿となる覚悟です」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

11月場所、元大関の十両・朝乃山(31歳)。2度の三段目転落を経て、先場所、関取に復帰した

 感謝の念を込めて大銀杏にハサミを入れ、いざ国技館に向う。2敗で優勝争いのトップを走るのは弟弟子の朝白龍だ。この日、朝乃山は新進気鋭の相撲巧者である三田戦を制し、大歓声のなかで3敗を死守。続く3敗の錦富士と2敗の弟弟子の対決で、錦富士に軍配が上がれば3敗で3人が並び、優勝決定巴戦の可能性が残されていた。結果は錦富士を下した朝白龍の十両優勝――。支度部屋のテレビでこの一戦を見守っていた朝乃山は、「ジャミ(朝白龍の愛称)、行け、行け~!」と我を忘れて応援した。十両優勝を逃した朝乃山はいう。

「もちろん悔しがらなきゃいけないですけど、弟弟子が優勝してくれて嬉しいですよ。もし決定戦になったら、もちろん死に物狂いで戦ったでしょうけど。今場所を振り返ると、序盤戦はなかなか自分の相撲が取れずに歯がゆかった。そんななかでも、白星が薬になるんですよね。まだまだ相撲内容はよくなかったですけど、僕の場合は、やっぱり15日間相撲を取るほうがやりやすい。とりあえずはケガが悪化せずに場所を終えられてよかったです」

 11月の九州場所は西十両4枚目で迎えた。「2桁勝てば再々入幕を目指せる位置。先場所、弟弟子に獲られた優勝をして、いい年を迎えたいですね」

 長く濃密な夏を乗り切った朝乃山は、秋晴れのような清々しい笑顔を見せながら、一年納めの九州場所に挑んでいる。

関連記事

BACK 1 2 3
#朝乃山
#高砂部屋

相撲の前後の記事

ページトップ