魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER
相撲ファンから批判も「横綱・豊昇龍、まさかの“変化”はアリなのか」元大関・魁皇が独自の見解「あの変化は逆に勇気がいる」「今場所盛り上げた」
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浅香山博之Hiroyuki Asakayama
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/03 17:30
横綱・豊昇龍。9月場所は両横綱による優勝決定戦で敗れ、優勝を逃した
ケガしたなかでも相撲を取り、よく頑張ったなぁ。部屋が合併されて環境が変わり、それにも慣れて来たのでしょうかね。今までと違って、自分より上の関取たちが何人もいる伊勢ヶ濱部屋でしっかり指導を受け、稽古したことで、より一層力を付けたのではないかと思います。
先場所新入幕で優勝争いに絡み、三賞も受賞した草野も伊勢ヶ濱部屋。前頭六枚目まで番付を上げての勝ち越しでした。相手の攻めについていける、すぐに対応できる相撲勘というか“勝負勘”が備わっているんです。4場所連続で三賞を受賞した安青錦もだけど、ここのところ若手が力を付けてる。若い子がどんどん伸びて来てるんですよね。
成績は上がらなかったけど、藤ノ川もそう。キップのいい面白い相撲を取り、ハラハラドキドキさせる相撲を見せてくれる。若い力士のお陰で土俵も活気が溢れています。
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その一方で先場所初優勝した琴勝峰が12敗と大敗してしまったけれど、優勝した後って挨拶回りやイベントごとで忙しいんですよ。まして初めての優勝でしょ? 真面目な子ほど、なかなか自分のペースがつかめなくなる。自分もそうでした。場所前にもう疲れちゃってるんだから(笑)。ここで神経を図太くして、「いや、体を休めたいのでそれはやりません」などと言えればいいのだけれど、そうもいかない。そういう部分では、自分で体調管理や自己管理をしなきゃいけないところでね。でも、優勝できた場所を振り返って、「なんであの成績を出せたのだろう」と考えてみる。それまでやって来たことを続ければいいだけなんですよ。優勝した場所の前に自分は何をしてきたか、どういう稽古をしてどんな生活をしていたか――そこをしっかり思い出してね。多少は改善点を直したりプラスアルファすることも大事だけど、急に余計なことをしないでいい。まだ、「好調だった時の現状維持」でいい。優勝後の大敗というこの経験も大事です。でも、ここでズルズル落ちてっちゃダメで、来場所は大事ですよ。
「僕はついつい酒飲みに行っちゃってね…」
大関取りが懸かっていた若隆景が、まさかの負け越し。聞くところによると場所前に熱が出て思うように稽古ができなかったらしいけど、そこもやはり自己管理ですよね。自分は、大関挑戦は7回だったと言われてます(笑)。

