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「世界から最も遠い」と言われた日本のハードル種目が躍進のワケは?…世界陸上5位入賞でも村竹ラシッド「何が足りなかったんだろう…」の衝撃
posted2025/09/17 06:03
世界陸上男子110mハードルで5位入賞を果たした村竹ラシッド(JAL)。メダルを狙っていただけに、決勝のレース後は悔しさを滲ませた
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto
かつて「世界から最も遠い」とまで言われた日本のハードル競技。その状況を大きく変えたのは、約10年前に導入された高校生向けのハードル規格変更だった。
高校時代は低いハードルを使うことで身体能力の強化を重視し、その上でシニアになった段階で技術力もつけていく――そんな流れができたことで、一躍、日本のハードル界の歴史は動き出したという。
日本陸連で強化委員会ディレクターとしてジュニア選手の育成に携わる杉井将彦氏は、その転換点についてこう語っていた。
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「近年まで日本の高校陸上界では、インターハイをはじめとした大きな大会ではシニア選手と同じ106.7cmの高さのハードルを使っていました。でも、世界を見てみるとU20世界選手権やU18世界選手権ではシニア用より約8cm低い、いわゆる『ジュニア規格』のハードルを使っているんです」
世界が低めのハードルを使い若年期のスピード強化に注力する中、日本だけがガラパゴス化していた。その結果、2000年代には日本記録と世界記録の差が陸上競技の主要種目のなかで最も乖離してしまっていたのだ。
ジュニア規格の大会増を決断
日本陸連はジュニア規格のハードルで走ることのできる主要大会を増やす決断をした。
今大会で5位入賞を果たした村竹ラシッド(JAL)や、同じくメダル候補の期待を背負い準決勝まで進んだ泉谷駿介(住友電工)が高校生だった頃には、U20日本選手権や国体などでジュニア規格のハードルを使うようになっていた。
「泉谷選手は走幅跳でも8mを跳ぶし、走高跳でも2mを跳ぶ。そのバネと100mのスピードが、そういった規格の変更を活かしてうまくハードルに活かせるようになってきたのだと思います」と杉井氏は分析する。
では、今大会でメダルを狙い、パリ五輪につづく世界大会5位入賞を果たした村竹の強さの根源はどこにあるのか。杉井氏が分析した「秘密」とは――その続きは、本編で描かれている。
<つづく>
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
