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「相手を称えなかった」大坂なおみの“マナー違反”はなぜSNSで批判を集めたのか?「テニス選手はクレージー」ウィンブルドン敗戦後に語っていた言葉

posted2025/09/05 06:00

 
「相手を称えなかった」大坂なおみの“マナー違反”はなぜSNSで批判を集めたのか?「テニス選手はクレージー」ウィンブルドン敗戦後に語っていた言葉<Number Web> photograph by KYODO

優勝に歓喜するエムボコの横で呆然とした表情を浮かべる大坂

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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KYODO

 大坂なおみが思わぬところで話題の主になった。全米オープン前哨戦のWTAモントリオール大会で決勝に進出したが、地元カナダの新鋭・18歳のビクトリア・エムボコに惜敗し、'21年全豪以来のタイトルを逃した。落胆した大坂は目を真っ赤にして表彰式に臨み、スピーチでは優勝者への祝辞を飛ばしてしまった。勝っても負けても対戦相手を称えるのがテニス界の慣習、マナーであり、動揺していたとはいえ若い選手の快挙を祝福しなかったことで批判を浴びたのだ。

 記者会見をキャンセルした大坂は、大会主催者を通じて「祝福の言葉をすっかり忘れてしまいました。彼女は本当に素晴らしかった」とコメントを出した。また、SNSで「ビクトリアにごめんなさい、そしておめでとうと言いたい。あなたには素晴らしい未来があるでしょう。コートでお祝いを言えなかったことに気づきました。正直、放心状態でした」と釈明。大坂を励ます声は多かったが、この投稿にも一部、批判が寄せられた。

 確かに失態だが、逆転負けで出産後初となる優勝を逃した失望感は理解できる。

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 この7月、ウィンブルドンの3回戦で逆転負けした大坂は「負けた時はとても落ち込むが、それは私がもともと持っている競争心なのだと思う」と語り、落胆をプラスに捉えて自分を納得させようとしていた。おそらく今回もそうしようと努めたが、気持ちの整理がつかないうちにスピーチのマイクを握ったのだろう。

 トップアスリートは人格でも一流を求められる時代だ。本人にとっては不本意な負けでも、常にグッドルーザーであることが期待される。失態があれば即座に叩かれるのもSNS時代の難しさだ。

 ウィンブルドンでの発言には、続きがある。

「誰だって1年に何度もこんな気持ちを味わいたくはないでしょう。でも、テニス選手たちはクレージーなので……」

 自分を俯瞰し、ひどく落ち込んでいるのにそれでも挑戦をあきらめない姿を、「クレージー」――どうかしていると表現するウィットには感心させられた。

 この精神の強靱さがあれば、大丈夫。今度は優勝者として、大坂らしい個性的なスピーチを聞かせてほしい。

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