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甲子園「優勝候補の一角」がまさかの初戦敗退の衝撃…“最速158キロ”剛腕エースはなぜ先発しなかった? 監督は「プランの読み違えはあった」
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田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/14 11:05
京都国際との初戦に敗れた群馬代表の健大高崎。最速158キロを誇る剛腕・石垣元気を筆頭に好投手をそろえ、優勝候補の一角と言われていたが…
だからこそ、初戦が強敵の京都国際であっても青栁には勝算があった。
「下重の試合を作れる良さと佐藤の球威で抑えて、最後に石垣がまとめてくれるかな、と。後半勝負でタイブレークも考えながら、3-2で勝つイメージでした」
試合は1回、監督が「想定内」だとしていた2点を、いきなり取られてしまう。この時、ベンチはすでに異変に気づいていた。
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青栁がはっきりと言う。
「下重がちょっと、球が走ってなかったですね。いつもの下重ではなかったです」
監督の不安は、普段はヘッドコーチとしてピッチャーをメインに指導する部長の生方啓介も感じていたことだった。
「想像以上だった」京都国際の打線
京都国際打線が低く、強い打球で対応してくるとは事前に分析していたが、「それにしても」と生方が悔しがる。
「そこを警戒して『どういう配球にしていくか?』と対策していたんですけど、想像以上だったというか。下重の対応に関しては特にそうだったかなと思います」
3回を投げ4失点。
京都国際の脅威は、マウンドで投げる下重が誰よりも痛感していたことだった。彼は監督と部長の見解を言い訳にすることなく、潔く相手の実力を認めていた。
「空振りをしないというか、ファウルで粘って来たり、きわどいボールを見極めたり。自分が思っていた以上に手ごわい打線でした」

