甲子園の風BACK NUMBER
“偏差値70の甲子園常連校”は「進学実績も重要」「中学生も保護者も高校野球後を気にしている」野球脳を鍛えつつ…どう球児集めをしているか
text by

間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/13 06:01

2018年センバツでの静岡高校
能力の高い中学生は甲子園出場や日本一を目指している。そして、その先には大学や社会人、プロで野球を続ける未来を描く。目標を実現させる環境が静岡高校に整っていると判断されれば、自然と進学先に選ばれる。
進学面では、池田監督が奔走して各大学とのパイプをつくっている。また、県内随一の進学校である強みも生かす。月曜日は完全オフにし、平日は午後7時半で全体練習を終えるなど、部員たちが勉強する時間を普段から確保する。
「中学生も保護者も高校野球を終えた後を気にしているので、人気のある大学への進学につながる実績が重要だと考えています」
ADVERTISEMENT
池田監督は、こう話していた。
静岡高校の選手は高校入学時点で、県外の甲子園常連校と比べて地力で劣るかもしれない。全体練習の時間も私立ほど長くない。だが、それをハンディにしない。むしろ、野球脳を磨くチャンスと捉える。池田監督が言葉に力を込める。
「今、うちに来ている選手たちも十分に能力が高いです。“トップレベルの選手は静高以外に進学した”という声に負けないようにやっています。自分たちを知って強みを生かす。そして、相手を見て弱いところを徹底的に攻める。選手たちに主体性や自立心を育むことができれば、勝負所で強さを発揮するチームになると思っています」
静岡は公立校を応援してくれる土壌が
私立に押され気味な現状を甘んじて受け入れるつもりはない。選手集めのハードルを言い訳にするつもりもない。
「静岡県は公立高校を応援してくれる土壌があります。私立の勢いに負けていられません」
池田監督の通り――静岡県に根差す公立の魂が、静高には息づいている。ではグラウンド内外で、どんな取り組みをしてチーム強化に取り組んでいるのか。〈つづく〉

